建設業界ではドローンによる測量が普及し始めているわ。
測量こそ、ドローンを活用することで革新的な変化が期待できる領域だと言えるの。
確かに、空から測量できたら便利そうだな…。
ドローンを使った測量は、どのような原理で測量データを測定しているのでしょうか。
という事で今回は
- ドローン測量のメリットやデメリット
- 測量の流れ
- 必要な資格や知識
などを紹介していきます。
ドローンを使った測量のメリット、デメリットを知ることで、ドローン測量をうまく活用できるようになりましょう。
目次
ドローン測量とは?
ドローン測量とは簡単にいうと以下の三点です。
- ドローンで空から地面の様子をデータ化します
- 専用ソフトでデータを加工して、図面や3Dモデルの作成に利用します
- 地上で測量するよりも早く、セスナで航空測量をするより安いです
これからこの3点をより深く解説していきます。
それでは以下に参りましょう。
いまさら聞けない? ドローン測量の基礎情報
そもそもドローン測量は何のために、どんなことをするのか?
ごく基礎的な情報を再チェックしてみましょう。
ドローン測量で得られるもの
ここではまず、ドローン測量を行なった結果得られるデータ、成果ついて見てみることにしましょう。
3次元点群データ
点群データとは、言い換えるなら「ドローンで空中から取得したXYZ軸の情報」のことです。
ドローンが気圧計などから取得する高度情報とGPSやGLONASSの人工衛星から取得する位置情報を光学カメラやレーザー測距装置で捉えたデータと組み合わせることで、位置情報をもつ「点の群れ」がデータとしてできあがります。
このデータを専用ソフトで加工することで
- 地点Aから特定の地点Bまでの距離の計測
- 盛土の体積算出
- 3Dモデル作成
- 図面作成
- 出来形管理
などが行えます。
オルソ画像
ドローンで空から撮影した複数枚の写真を組み合わせて、傾きや歪みを配して正確な位置と大きさに表示されるように補正した「写真」のことをオルソ画像と呼びます。
直接的な意味での「測量」とは異なるかもしれませんが、ドローンによる点群データの取得とあわせて撮影されることがある画像です。

空中写真とオルソ画像の違いは、オルソ画像は写真上の像の位置ズレをなくし空中写真を地図と同じく、真上から見たような傾きのない、正しい大きさと位置に表示される画像に変換(以下、「正射変換」という)したものです。
オルソ画像は、写された像の形状が正しく、位置も正しく配置されているため、地理情報システム(GIS)などにおいて、画像上で位置、面積及び距離などを正確に計測することが可能で、地図データなどと重ね合わせて利用することができる地理空間情報です。
オルソ画像に関して詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
このような3次元点群データやオルソ画像を取得することで、現地の様子を正確に把握することができ、工事現場などにおける判断の迅速化や施工の効率化を実現し、工期短縮とコスト削減そして安全強化を目指すことがドローン測量の狙いです。
ドローン測量の手順
ドローンを用いた測量と一口に言っても、それが公共測量なのかより簡易なものなのか、どれほどの精度が求められるものなのか、どのような機材を使用するのかによって必要な人員も手順も異なります。
ここでは全ての事例を網羅することはできないので、以下に一例として、ドローンによる写真測量を行なう場合の手順を国土地理院の「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」からご紹介します。

ドローンによる写真測量を行なう場合の手順を詳しく知りたい方は以下をどうぞ。
ドローン測量が役立つ業種、活躍する場面
ドローン測量の導入が進む業種、引き合いのある業種としては以下の事例があります。
- 建設業者・コンサルタント
- 産業廃棄物業者
- 鉱山管理業者
また、砂利や土砂、パルプなどを管理する必要がある現場などでの活用も注目されています。
ドローン測量のメリット
ドローン測量は旧来の測量方法に対してどのような点で優れているのでしょうか?
この項ではドローン測量を導入した場合に得られるメリットを「地上測量」と「旧来の航空測量」との比較でご紹介します。
ドローン測量のメリット①素早く広範囲をカバーできる
地上での測量と比較した場合、ドローン測量は圧倒的に素早く計測が行なえます。
ドローン測量でも地上測量でも土地の状況や必要なデータの精度などによってかかる時間は異なりますが、ひとつの目安として以下の例をご覧ください。
<2ヘクタールの土地を地上からトータルステーションで測量した場合>
平坦な場所で2、3日。起伏が激しい地形では1週間程度
<2ヘクタールの土地を空中からドローンで写真測量した場合>
実飛行時間1時間程度、準備と撤収込みで半日程度。
ドローン測量における現地作業は地上測量と比べて最短1/6程度まで短縮可能です。
別途、PCによるデータ解析は必要になりますが、それを含めても大幅なスピードアップが期待できます。
ドローン測量のメリット②人が入れない場所にもドローンは行ける
地上から人や車両で機材を持ち込むことが難しい、手間がかかるといった地形や崖、土砂崩れの現場など人が近づくのに危険を伴う場所でもドローンであれば素早く安全に測量が行なえます。
ドローン測量のメリット③3Dモデル作成が容易
写真データから点群データを作成することができます。
ドローン測量のメリット④価格が安い
セスナなどの航空機を用いて写真測量やレーザー測量を行なう場合と比較した場合、ドローン測量の方が低い価格で実施することができます。
こちらも条件によって価格は大きく異なりますが、一例としてセスナを測量目的で飛ばす場合は100万円程度の予算が必要になるところ、ドローンであれば十数万円の予算で実施できる場合があります。
ドローン測量のメリット⑤点群データの密度が高い
セスナに比べてドローンのほうが低空(100m程度)を飛行するため、より密に点群データを取得できます。
そのため、成果物となる3Dデータなどの精度を高めることが可能になります。
ドローン測量のデメリット
ドローン測量のメリットはヘクタール単位の土地を素早く測量できることにあります。
そのため、数十平方メートル程度の凹凸の無い土地を測量する場合、地上からの測量に比べ割高になります。
また、航空測量の場合はドローンよりも早く広い土地を測量できるため、数十〜数百ヘクタール単位の土地を一気に測量したい場合はドローンだとバッテリー交換のために複数回の離着陸が必要になることやセスナほど速くとべないことから計測に時間がかかってしまいます。
ただし、近年では固定翼のドローンも登場してきているため、ドローンによる写真測量でこれまでよりも広い範囲を素早く撮影することが可能になりつつあります。
ドローン測量の精度
ドローン測量における誤差は、使用する機材や実施時のコンディションなどに影響を受けますが、高い精度で測量が行えたとしても位置精度 0.05m(5cm)程度の誤差が生じるものとされています。
これらはデメリットというよりかは、測量を行なう場所の広さによって適切な方法がちがうと、と考えるのが良いかもしれませんね。
ドローン測量と資格
この項ではドローン測量に関連して、必要な資格や役立つ資格をご紹介します。
測量関連
- 測量士
- 測量士補
国土地理院が認定する国家資格である、測量士と測量士補は測量法に基づく国家資格です。
基本測量や公共測量は無資格では行なえないため、ドローンで公共測量を実施するには必須の資格です。
測量士・測量士補試験は、測量法及び測量法施行令に基づいて行われる国家試験です。
測量士となるのに必要な専門的学識及び応用能力を有するかどうか、また、測量士補となるのに必要な専門的技術を有するかどうかを判定するために行い、試験に合格すれば、それぞれ測量士又は測量士補となる資格を取得できます。
試験は年一回(例年5月中~下旬の日曜日)実施され、どなたでも受験が可能です。
操縦関連
測量法の定める公共測量などではなく、オルソ画像や点群データの作成であればドローンの操縦方法とソフトウェアの使用方法がわかれば実施することができます。
ドローンの操縦については「国家資格」は存在せず「民間資格」としておもに以下の3種類が認知度のあるものとして知られています。
- 受講料:20万~40万円(税別)
- 操縦技能証明証発行費用:20,000円(税別)
- 2年ごとの資格更新料:7,000円(税別)
- 受講条件:なし
- 受講料:5万~10万円(税別)
- 認定書発行費用:15,000円(税別)
- 資格更新料:有償化予定
- 受講条件:DJIユーザー、10時間以上の飛行操縦経験
- 受講料:20万円(税別)
- 資格認定証等の発行及び認定料:12,000円(税込)
- 2年ごとの資格更新料:6,000円(税込)
- 受講条件:なし
なお、それぞれの団体でさらに上位の資格としてインストラクターや安全運行管理者などの認定を行なっています。
気になった方は以下から公式ページをご覧下さい。
写真測量とレーザー測量の違い
ドローンに搭載したレーザー測距装置を使った測量が「レーザー測量」、光学カメラを使った測量が「写真測量」ですが、ここでは、もう少し詳細にそれぞれの違いや特徴をチェックしてみることにしましょう。
レーザー測量
ドローンに搭載した小型のレーザー発振器から地上に向けてレーザーを放ち、反射したレーザーから得られる距離情報とGPS/GLONASSから得られる位置情報を組み合わせて、地表の様子を精密に記録する方法です。
簡単に表現すると、レーザーを打ち出して得られたデータを位置情報と結びつけて、地表の状況を細かく捉える方法と言えるでしょう。
作成する写真測量に比べて圧倒的に精度が高くなる点がメリットです。
また、発射するレーザーの数が多ければ、木の葉の隙間からレーザーを地面に届けることができるので、多少の植生がある場所でも地表の様子を調査することもできます。
なお、レーザー測距装置の多くが1,000万円近い価格の物であるため他の測量方法に比べて割高になる点は注意が必要です。
また、ドローンによるレーザー測量は非常に歴史が浅く、実施できる企業も限られています。
写真測量
写真測量はドローンで測量地の上空を飛行しながら、撮影範囲を重複させた複数の写真を撮影し、つなぎ合わせることで、地表の状態を調査するものです。
通常、写真の中央がGPS/GLONASSの座標と一致し、1つの点として記録されるため、得られる点群の数はレーザー測量よりはるかに少なくなりますが、安価な機材を使用して行える点がメリットです。
ドローン測量の価格の目安
ドローン測量の価格の目安を確認していきましょう。
自社で行なう場合
- 写真測量
ドローンの操作(自動航行の設定)や画像解析ソフトによるデータ加工などを自社で行なう前提でその人件費を除外し、単純にドローンに必要な機材を購入する金額を想定した場合、エントリーセットの場合『Phantom 4 Pro』と『Terra Mapper クラウド・デモ(30日間無料)』を使用し、20万円程の予算でテストを行なうことが可能です。
また、そこからステップアップする場合は45万円の追加で『Terra Mapper デスクトップ版』を購入するなどの選択肢があります。
- レーザー測量
レーザー測量には非常に高価な専用機材とドローンが必要になるため、頻繁にドローン測量を実施する測量専門企業でないかぎり、自前で機材一式を備えることは現実的ではありません。
もし、実際に行なう場合は1,000万円以上の出費を覚悟する必要があります。
外注する場合
外注費は案件の難易度、使用機材、納期、現場までの交通費の有無など様々な要素に影響を受け変動することがあるため、以下はあくまでも参考価格としてごらんください
- 写真測量
2ヘクタール程度のエリアを『Inspire 2』で撮影し、専用ソフトウェアで加工する作業を発注した場合の目安は100万円前後です。
- レーザー測量
レーザー測量に関しては機材を所有している会社そのものが少ないため、値段にもバラツキがありますが300万円程度の価格が想定されます。
ドローン測量を検討する際に知るべきこと&注意点
ドローンを用いて写真測量やレーザー測量を行なう際に注意するべき法律やマナーについては、基本的に一般的なドローン空撮や趣味での飛行の場合と大きくは変わりません。
実際に守るべき法律や規制については、以下の記事に詳細がありますので、ぜひ、チェックしてみてください。

まとめ
わずか4〜5年の間にめざましい進化を遂げたドローンと空撮写真の恩恵を受けて、にわかに実用的なレベルに到達したドローン(UAV)測量は、より少ない人手と時間で素早く測量を行なう合理的な方法として注目を集めています。
2018年上旬時点おいては、爆発的に普及が進んでいるわけではありませんが、コストダウンや能率アップのために導入するとしたら、今こそが競合に差をつけるチャンスよ。
ソフトウェアに関しては無償のデモ版の利用や無料セミナーなどを利用して触れることもできるわ!
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