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【2020最新版】ドローンでの農薬散布のメリットや必要資格を徹底解説!

タクミ
タクミ

最近、農業もドローンを使ってるらしいな!

エリカ
エリカ

農業現場における無人航空機(ドローン)の活用は航空法や自治体ごとの条例など、さまざまな規制がありながらも、ニーズは年々高まりを見せているわ。
なかでも、ドローンによる農薬散布は大きな注目を浴びているのが現状よ。
この背景には、ドローンを導入することによって得られる、農作業の効率化や低コスト化といったメリットがあげられるの。

また、無人ヘリコプターと比較してドローンが安価であり、操縦への難易度が低いこともポイントです。

多くの農業現場で課題となっている、担い手不足や高齢化による労働力不足をカバーできるという点で、さらなる注目を集める農業用ドローンは、農林水産省でもその活用が推進されています。

という事で今回は

  • ドローンでの農薬散布について
  • ドローンの農薬散布で必要な手続き
  • 農業で使えるおすすめドローン

この3点を中心に解説していきます。

では下記に参ります。

ドローン農薬散布とは

農薬散布は時間と労力のかかる作業です。

人がタンクを担いで人力で農薬をまくこともできますが、ドローンを使えばその最大60倍の速さで散布が行えます。

DJIの『AGRAS MG-1』を例とすると、その散布能力はメーカー公称で1ヘクタールあたり15分となっており、人力より遥かに効率的な作業が可能です。

また、今後、自動で飛行するドローンから農薬散布や粒剤、種子の散布を行なうことを目指した機体の開発やルールの整備も進みつつあるため、将来的にはドローンを活用することでさらに時間と労力がかからない農業が実現する見込みです

ドローン農薬散布を自分で行なう際に必要な手続き

ドローンを利用して田畑などへの農薬散布を行なう場合、航空法で定める「物件投下」「危険物輸送」にあたるため、国土交通省へ事前に申請をして承認を得る必要があります。

なお、法律による規制ではないものの、以下の手続きを踏むことでより安全に散布を行なえるようになります。

  • 農林水産航空協会(農水協)から、技能認定を受ける
  • 農林水産航空協会(農水協)に、空中散布用の機体を登録する
  • 農林水産航空協会(農水協)の都道府県協議会などに、「事業計画書」提出する

また、こちらも法律や資格ではありませんが、近隣農家とのトラブルを避けるために、隣接する畑などがある場合は事前に情報を共有するなどして、周囲の理解を得るよう心がけるほうがベターです。

農薬散布用ドローン機体

ドローンによる農薬散布を行なう場合に用いられる代表的な機体をご紹介します。

AGRAS「MG-1」(DJI社)

『AGRAS MG-1』は約10リットルの農薬や肥料などを搭載し、最高時速約20kmでの散布が可能。

このため、1フライトで最大1ヘクタールという広い面積に効率的に散布が行なえます。

なお、DJIによれば、地上で人が作業する場合の40〜60倍の速度で散布を完了できるそうです。

DJI AGRAS「MG-1」の概要
  • メーカー名:DJI
  • 製品名:AGRAS「MG-1」
  • 値段:180万円前後
  • タンク容量:10L
  • 離陸重量:23.5kg
  • 最大飛行可能時間:10~15分程度
  • サイズ:1471mm x 1471mm x 482mm (アームを広げた状態、プロペラなし)
  • 780mm x 780mm x 482mm (アームを折畳んだ状態)
  • 対角長:1,520 mm
  • 最大散布面積:1ha
  • 散布速度:時速20km
  • 自動飛行:対応

公式サイトはこちら

AC1500(enRoute社)

AC1500 は、大型でパワフルなニューモーターと徹底的に性能を追及した高性能プロペラの組み合わせによってペイロードを増やし、高性能で大容量のバッテリーを搭載することによって、より広範囲での効率の良い散布を実現させました。

突然の雨にも心配がいらない防滴仕様です。

enRoute AC1500の概要
  • メーカー名:enRoute
  • 製品名:AC1500
  • 値段:販売店による。220~250万円。
  • タンク容量:9L
  • 離陸重量:24.9kg
  • 最大飛行可能時間:15~20分程度
  • サイズ:ローター径 665mm、軸間 1440mm、高さ 703mm
  • 対角長:1440mm
  • 最大散布面積:1ha(10分間)
  • 散布速度:時速15km

公式サイトはこちら

X-F1(スカイマティクス社)

1haの農薬散布が約8分間で終了するスポード散布が売りの機体です。

防水仕様なので散布が終わったら水洗いにより農薬を洗い流すことができ、メンテナンスが容易です。

専用クラウド「はかせ」はフライトプランを自動的に作成するだけでなく、散布実績を記録管理し、手間のかかる実績報告書作成の補助などにも利用できます。

スカイマティクス X-F1の概要
  • メーカー名:スカイマティクス
  • 製品名:X-F1(商品名称「はかせ」)
  • 値段:320万円
  • タンク容量:10L
  • 離陸重量:24.0kg
  • 最大飛行可能時間:ペイロード無 最大25分
  • サイズ:全高:660mm:全幅:1957mm:全長:1957mm
  • 対角長:ローター軸間 1534mm
  • 最大散布面積:1.25ha
  • 散布速度:時速20km
  • 自動飛行:対応

公式サイトはこちら

自動飛行型農薬散布マルチコプター(ナイルワークス社)

搭載したカメラを通じて圃場の形状を自動認識し、完全自動飛行で農薬の空中散布を行うマルチコプターです。

熟練オペレーターがいなくても、タブレット端末の簡単な操作で空中散布が行えます。

正確な位置制御・散布制御が可能なので、無人ヘリでの散布が難しかった小規模・変形圃場に対応。

軽トラックに積める機体で、飛行1回あたり10リットルの農薬を1ヘクタールの圃場に散布出来ます。

将来規制緩和が行われれば、自動航行による散布も可能な仕様です。

自動飛行型農薬散布マルチコプターの概要
  • メーカー名:ナイルワークス
  • 製品名:自動飛行型農薬散布マルチコプター
  • 値段:約350万円。リースは年間約100万円。
  • タンク容量:10L
  • 離陸重量:25.0kg
  • 最大飛行可能時間:20分程度
  • サイズ:幅1900mm 奥行1400mm 高さ700mm
  • 対角長:(データ無し)
  • 最大散布面積:1ha
  • 散布速度:最大時速20km
  • 自動飛行:対応

公式サイトはこちら

飛助DX(マゼックス社)

飛助DXは液体農薬、肥料および除草剤、粒状薬剤など10L積載す可能仕様です。

従来のように効率性だけの散布だけでなく、産業ヘリコプターに匹敵するほどの効果的な散布性能を実現しました。

最大重量24kgと軽量な機体で無駄なくダウンウォッシュを確保するために散布装置の切替装置を開発し、風に流されにくく作物の根元まで薬剤をかき混ぜて散布することができます。

飛助DXの概要
  • メーカー名:マゼックス
  • 製品名:飛助DX
  • 値段:92万4千円(税抜)
  • タンク容量:10L
  • 離陸重量:24.15kg
  • 最大飛行可能時間:22分程度(散布時14分程度)
  • サイズ:1190mm × 1190mm × 520mm
  • 対角長:1530mm(対角モータベース)
  • 最大散布面積:1.25ha
  • 散布速度:時速15~2km
  • 自動飛行:対応

公式サイトはこちら

YMR-08(ヤマハ社)

産業用無人ヘリコプターを通じて、日本の農業の現場と共に培った防除ノウハウをもとに開発された、ヤマハの産業用ドローンが『YMR-08』です。

無人ヘリコプターと同様な散布品質をはじめ、操作性、作業性、安全性を最新のテクノロジーで実現しています。

YMR-08の概要とスペック
  • メーカー名:ヤマハ
  • 製品名:YMR-08
  • 値段:255万円(税抜)
  • タンク容量:10L
  • 離陸重量:24.9kg以下
  • 最大飛行可能時間:15分程度
  • サイズ:2181mm × 1923mm × 669mm
  • 対角長:(データ無し)
  • 最大散布面積:1ha
  • 散布速度:時速10~20km
  • 自動飛行:無し(手動操作)

公式サイトはこちら

ドローンによる農薬散布の規制緩和

これまで、農業現場におけるドローンは、2015年12月発出の『空中散布等における無人航空機利用技術指導指針』をもとに活用されてきました。

しかし、労働力が減少している農業現場では、無人ヘリコプターと異なり、低価格かつ容易に操縦できるドローン導入への機体は高まる一方です。

そこで、農林水産省では、『空中散布等における無人航空機利用技術指導指針』が2019年7月末日付けで廃止されました。

技術指導指針廃止後の手続き

この技術指導指針廃止により、農林水産省の登録代行機関(民間機関)による機体やオペレーターの代行申請が廃止されました。

今後は、国土交通省による承認に一元化されることで、手続きがこれまでよりも簡素化されます。

一方、「審査要領」において代表者が複数の申請者を取りまとめ、国土交通省に代行申請を行なうことは可能とのことです。

また、これまではドローンによる農薬空中散布において、国や都道府県に散布計画を提出する必要がありました。

しかし、今後はその報告も不要とのこと。

散布区域周辺への情報提供を前提に、散布計画の提出が求められないことになりました。

また、農薬散布の際に留意すべき飛行の安全確保については、国土交通省のホームページで『空中散布を目的とした飛行のマニュアル』が公開されています。

詳しくはこちら

これは、既存の航空局標準マニュアルに

  • 「補助者配置義務を不要とする要件」
  • 「目視外飛行の要件」

などが加えられたものです。

このマニュアルに則って空中散布を実践する場合には、飛行の許可承認申請書に必要な添付書類の一部が省略されます。

補助者の配置を不要とする場合

この場合、飛行する農地の周辺に人や車両への衝突を避けるための「立入管理区画」を設けることが求められています。

この「立入管理区画」は、「位置誤差」「落下距離」を合算したうえで、ドローン落下の可能性がある範囲として飛行区域の外側に設定します。

「位置誤差」「落下距離」は、それぞれメーカーが保証する数値を参照して設定することが基本です。

メーカーの明示がない場合には、飛行マニュアルに掲載されている数値をもとに設定を行ないます。

夜間や目視外での農薬散布を行なう場合

審査要領では、夜間飛行や目視外飛行などにおける各飛行形態に応じた安全対策が求められています。

審査の際には、この安全対策が適切に設定されているか否かが重要なポイントです。

さらに、『空中散布を目的とした飛行のマニュアル』にも、安全な飛行を確保するために必要な体制が記載されています。

ドローンによる農薬散布の現状

2016年に制定された『農薬を散布する小型無人飛行機(ドローン)操作の認定制度』において、初年度である2016年8月の技能認定操縦者は155名。

約3年後となる2019年6月現在では、50倍に近い7,232名と劇的に増加しています。

さらに、飛行状況の把握や非常時の対応に向けた機能など、操縦者や操縦補助者の役割をサポートする機能が飛躍的に進歩しています。

たとえば、自動操縦や高度維持、飛行経路の逸脱防止、緊急回避など、さまざまな機能が充実した高機能・高性能なドローンが次々と市場に登場しています。

一方で、農薬の安全かつ適切な使用を順守していくため、農薬の空中散布に係る安全ガイドラインが2019年7月30日付けで発出されました。

このガイドラインは無人ヘリコプターとドローンそれぞれで策定されており、農林水産省のホームページ上で確認することができます。

詳しくはこちら

現状、ドローンの農薬散布による事故が発生した場合は農林水産省、航空安全に関する事故の場合は国土交通省への報告がそれぞれ義務づけられています。

新たに策定されたこのガイドラインには、報告の趣旨が明記されるとともに、報告漏れがないよう国土交通省への報告も明記されています。

まとめ

エリカ
エリカ

日本の総人口が減り、労働人口も減る中で農業の効率化は急務とされているわ。
農薬散布においては、人間が行なっていた作業をドローンに置き換えることで、劇的なスピードアップが期待できるため、今後さらなる発展が見込まれる分野よ。

タクミ
タクミ

ドローンが普及すれば、若い世代の人間も農業に興味を示すよな!

農薬散布用ドローンは、なかなか個人がすぐに購入できる金額の機体ではありませんが、人力で散布するには広すぎセスナやヘリを使うには狭すぎる場所ではとても役立つ物です。

農業現場で深刻な課題とされてきた、担い手の減少や高齢化による労働力不足。

低コストかつ短時間でこの課題を解決していく突破口として、ドローンの技術は今後もさらなる飛躍を遂げていくことでしょう。