空撮や点検、測量にレースまで、さまざまな分野で活用が進むドローンは、関連市場の規模が2022年までに2100億円超に成長すると予測されるなど、新たな産業や雇用を創造する推進力として期待されてるの。
2100億?!
やっぱりドローン業界はすげーな!!
しかし、このような期待と同時に
「ドローンを飛ばす時に必要な許可が何かわからない」
「うっかり法律に違反するのがこわい」
などの心配な疑問が思い浮かぶはずです。
今回はそのような疑問を解決していきます。
では以下に参ります。
目次
ドローンによる空撮はNG?
200g以上のドローンを飛行させて空撮するには「航空法」が関係してきます。
航空法では
- 空港周辺の空域
- 地上または水面から150m以上の空域
- 人口集中地区
上記の空域においてドローンを飛行させることはできないと定めています。
これ以外の空域で、さらに
- 日中から日没までに飛行させること
- 肉眼による目視範囲内でドローンと周辺を常時監視して飛行させること
- 人や物から30m以上距離を保って飛行させること
- イベントやお祭りなど人が集まる催しの上空では飛行させないこと
- 爆発物などの危険物を輸送しないこと
- ドローンから物件を落下させないこと
といった要件を満たす必要があります。
これらをクリアした環境で、かつ他の法律などに抵触しないようであれば、ドローンを飛行させて空撮することができます。
しかし、クライアントからの要望などで
- 夜間飛行しなければならない
- 目視外飛行させる必要あがる
- 人や物から30m以内に飛ばさなければならない
- イベントの上空を飛行させなければならない
- 危険物を輸送したり物資を投下させたりしなければならない
といったケースも出てくることでしょう。
そんな場合は、事前にドローンの撮影許可・承認を得る必要があります。
ドローンの撮影許可・承認の申請方法
ドローンの撮影許可申請は必要書類を郵送、持参、あるいはオンラインで行うことができます。
提出書類の内容を確認するために、最低でも10日前までに提出するよう推奨していますが、書類に不備があればさらに時間を要することもありますので、撮影日が決定した時点でできるだけ早くドローンでの撮影許可申請をすると良いでしょう。
もし急な空撮依頼などで業務の都合上、飛行経路が決定してからドローンの撮影許可申請を出していては間に合わないという場合も、飛行場所の範囲および条件を記載することで、飛行経路を特定せずに申請を行うことができますので、空撮を仕事にしたい人はこの辺りも押さえておくと良いでしょう。
なお「空港等の周辺または地上等から150m以上の高さの空域における飛行の申請」については空港事務所長宛に、それ以外の申請は地方航空局長宛に申請することになります。
その他、ドローンの撮影許可申請や承認に係る詳細については国土交通省のサイトに掲載されていますのでご確認ください。
無人航空機の飛行に関する許可・承認に係る申請方法(国土交通省)
その他の注意点
航空法が適用されるのは200g以上のドローンですが、たとえ200g未満であっても、迷惑をかけた人すべてに該当する法律である「軽犯罪法」に抵触する可能性がありますので注意しましょう。
また、航空法が該当するかどうか以前に、空撮OKの環境、または許可を得ての空撮を行う際も、第三者の肖像権やプライバシーの侵害に関してはきちんと配慮することを忘れないようにしましょう。
当然ですが他人の部屋の中を撮影することなどは、迷惑防止条例違反になりますので絶対に行ってはいけません。
ドローンの飛行に許可が必要な場所
まずは、ドローンの飛行場所に関連して確認をしなければいけないルールをチェックしまよう。
ここでは航空法や小型無人機等飛行禁止法、道路交通法や都道府県などの条例によりドローンの飛行が規制されている空域を順番に確認していきましょう。
空港周辺
- 関連する法律:航空法(第九章 第百三十二条)
- 許可の申請先:管轄の空港事務所
飛行機などとの衝突を避けるため空港施設の周辺や飛行機が滑走路に離着陸をする際に通る空域も飛行が制限されています。
全ての空港から6km以内エリアがこの規制範囲に該当するためドローンの飛行は空港事務所に連絡をして許可を得る必要があります。
また、羽田や成田、中部、関西、釧路、函館、仙台、大阪国際、松山、福岡、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、那覇の空港周辺では、24kmの範囲でドローンの飛行が禁止されているので気をつけましょう。
150m以上の上空
- 関連する法律:航空法(第九章 第百三十二条)
- 許可の申請先:管轄の空港事務所
地上や水面から150m以上の高度でドローンを飛ばす場合も飛行機やヘリコプターなどとの接触のリスクが高まることや墜落の際の衝撃が強くなることから規制の対象となっています。
また、「地上から150m以上」と定められている点に注意が必要で、例えば「山の上からドローン飛ばして、谷の上を通過する」という場合に、ドローンが何の上を通過する際の規制高度が「山の上から150m以上」ではなく、「谷底から150m以上」の高さになる点は要注意。
操縦者が居る場所からの高度ではなく、ドローン直下の地面までの距離が150m未満でなければ規制の対象になるので気をつけましょう。
人家の密集地域
- 関連する法律:航空法(第九章 第百三十二条)
- 許可の申請先:国土交通省
人口集中地区(DID)と呼ばれるエリアはドローンが墜落した際に人家を巻き込んだ事故になる可能性が高いため、飛行が制限されています。
ドローン飛行規制空域の確認方法
上記の3パターンの場所については、以下のリンク先で国土地理院が提供する地図から確認可能です。
飛行場所を選定する際に人口集中地域を避けることが望ましいですが、人口集中地域で飛行したい場合は必ず事前に手続きをしてドローンの飛行許可を得るようにしましょう。
また、現地に建物などがない広場や空き地であっても人口集中地域に該当するエリア内であれば規制の対象になるので注意してください。
国の重要な施設、外国公館、原子力事業所等の周辺
- 関連する法律:小型無人機等飛行禁止法
- 許可の申請先:土地の所有者、皇宮警察本部長、公安委員会など(場所により異なる)
国会議事堂や内閣総理大臣官邸、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域も飛行禁止空域に定められています。
なお、この空域でドローンを飛行する許可を得ることは可能ですが、他の規制地域における申請手続と比較すると、より複雑かつ難易度が高い内容となっており、事故の際の影響も計り知れないため特段の事情がない限りはドローンを飛行を行なわないほうが賢明と言えるでしょう。
道路の上空
- 関連する法律:道路交通法(第七十七条)
- 許可の申請先:管轄する警察署長(管轄の警察署)
道路上や路肩などでドローンの離着陸を行う場合は道路交通法における「道路において工事若しくは作業をしようとする者」に該当するため「道路使用許可申請書」を提出する必要があります。
また、車両の通行に影響を及ぼすような低空を飛行する場合も同様の許可が必要です。
なお、法律に明記されているわけではありませんが、ドローンが道路上空を飛行する場合は、管轄の警察署に事前に連絡をするべきです。
これは、安全確保のためのアドバイスを得るからだけでなく、万が一現地で作業をしている際に第三者から通報されてしまった場合などに、トラブルが深刻化するのを避けることにもつながるから重要よ。
このような理由から、道路上空をドローンを飛行させる場合は事前に管轄の警察署に連絡と確認を行なうことを強くおすすめします。
私有地の上空
- 関連する法律:民法(第二百七条)
- 許可の申請先:土地の所有者や管理者
私有地全般
民法は「土地所有権の範囲」として、土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ、と定めています。
そのため、この空域でドローンを飛ばす場合には、土地の所有者や管理者の許諾を得るようにしましょう。
なお、操縦者が私有地に立ち入ってドローンを離発着場合させる場合にも許諾が必要になります。
鉄道・線路
鉄道の線路上空も、この私有地上空に含まれるため、飛行に際しては事前に許諾を得る必要があります。
なお、ドローンの事故が原因で列車の運行に支障をきたした場合は多額の賠償金を請求される可能性がありますので、原則として線路などの鉄道施設の上空を避け、十分に距離をとってドローンを飛ばすようにしましょう。
神社仏閣、観光地
神社仏閣や観光地なども私有地であり、公式のウェブサイトなどで飛行を明示的に許可している場合以外は、事前に連絡をして飛行の許諾を得るようにしましょう。
また、第三者によるウェブサイトやSNSへの書き込みは、情報が不正確であったり古いかったりする可能性もあるため鵜呑みせず、所有者や管理者に直接問い合わせをすることをおすすめします。
条例による飛行禁止空域
- 関連する条例:各都道府県、市町村の条例
- 許可の申請先:各地方自治体
日本全国に適用される航空法以外にも、都道府県や市町村が独自の条例により飛行を全面禁止にしていたり、許可制にしているエリアが存在しています。
地域によってそれぞれ異なるルールが存在するので、飛行場所の条例については個別に地方自治体の窓口に確認しましょう
まとめ
ドローンによる空撮は魅力的ですが、撮影がNGな場合があるので、気を付けなければいけません。許可が必要な場所がほとんどなので、覚えておくようにしましょう。
許可申請をして承認を得れば、問題なくドローン空撮を楽しむことができるわね。
ドローンが日本の産業や文化の発展に寄与する社会を作るためにも、ひとりひとりがルールとマナーを守って正しくドローンを活用していくことが大切ね。