ドローンを飛行させる上で、必ず必要なものがあるの。
わかるタクミ君。
わかったぜ!
最近のドローンだったら、アプリと携帯だろ!
スマートフォンとアプリも間違えではないけれど、もっと大切なものがあるの。
それは「プロポ」よ!
「プロポ」と呼ばれるこのアイテムは、操縦者の意思を機体に伝え、コントロールするという重要な役割を担っています。
いわゆるコントローラーです。
一方で、最近は前述したスマートフォンとアプリによる操縦も出てきており、プロポの役割というものに変化が出てきているのも事実です。
今回は
- プロポの基礎知識
- プロポの機能
- プロポの選び方
この3点を中心に解説していきます。
それでは以下に参りましょう。
プロポの基礎
ドローンだけでなく、RC飛行機やRヘリコプターなどを飛ばす際にも使われる送信機、いわゆる「プロポ」。
この「プロポ」という名前の由来は正式名称である「プロポーショナルシステム」から来ています。
このシステムの特徴は、自分が操作した量に比例して、機体の操縦をおこなうことができることです。
例えば、前に行きたい時に前を大きく動かせば動かした分だけ前へ進み、小さく動かせばちょっとだけしか前に進まない、という制御を実現しています。
これは当たり前のように感じるかもしれませんが、プロポーショナルシステムがないと、前後左右の動きがすべて「動く」か「止まる」しかなく、自由自在のフライトなど到底できないでしょう。
RC飛行機やRCヘリの黎明期はこのシステムがなく、すべてボタンをカチカチと押しながら、一度押したら「左へ旋回」、2度押したら「右へ旋回」というような仕組みで飛ばしていました。
その、送信機であるプロポと機体に搭載した受信機を結ぶのが電波です。
現在、日本では総務省管轄のもと、決められた電波でドローンやRC飛行機、RCヘリを操縦することができます。
そのほとんどは、2.4GHz帯と呼ばれる電波を使っています。
この電波帯は2000年代後半になって認可がおり、RC飛行機やRCヘリでも使えるようになった(当時、ドローンはまだありませんでした)電波で、それまでの最大の懸案事項だった電波の混信が、2.4GHz帯を使うようになってからはほとんどなくなるようになりました。
そして、プロポは電波を使って操縦者の意思を機体に伝えます。
操作した量を機体にリアルタイムで伝えることで、ドローンならばその意思を受信機からフライトコントローラーに伝え、さらにESCに伝えることでモーターの回転数のコントロールをおこない、機体の制御をおこないます。
RC飛行機やRCヘリの場合は、受信機から各舵を操作するサーボへ信号が伝わります。
このように、プロポは操縦者の意思を素早く、そして確実に機体に伝えて制御する重要な役割を担っています。
何よりも信頼性を問われるアイテムとして、ドローンを飛ばす上でなくてはならないアイテムといって良いでしょう。
プロポの機能について
最近のプロポには非常に多くの機能が備わっています。
これは、機体の性能向上に伴い、さまざまなフライトスタイルが出現したことで操縦者から求められる要望も多くなった証であるとも言えます。
一昔前のプロポを知っている人ならば画期的だったのは、やはりフライトコンディション機能でしょうか。
飛行中に機体の設定を変えることで、違った特色を持った機体設定に変えることができます。
その時のシチュエーションやおこなうフライトによって、もうひとつの設定をあらかじめ用意しておくことで、その場の状況に応じたベストな設定で飛ばすことができるのは、操縦者にとって非常にありがたい機能でした。
今では当たり前の機能も、登場したのは1990年代半ばでした。
また、プロポには無数のスイッチがあります。
このスイッチには自分で好きな機能を割り当てることができます。
ドローンが活躍するようになって使われているのが、スイッチにカメラの操縦機能を割り当てるものです。
シャッターはもちろん、チルトする機能もスイッチに割り当てておき、ツマミを回すことでカメラを徐々にチルトさせることができます。
あらゆるフライトシーンに適応できるように考えられている最近のプロポは、このように後から出てきた飛ばし方にも柔軟に対応できるようになっているものが多くあります。
さらに、最近では機体の状況をプロポと機体に搭載されたセンサーが両方向で情報をやり取りすることで、リアルタイムに機体の状況を把握することができるようになりました。
テレメトリーセンサーと呼ばれるセンサーを機体の受信機とつなげることで、高度や速度はもちろん、バッテリーの残量からモーターの回転数や発熱、さらにはGPSを搭載しての位置情報まで、さまざまな情報をプロポの画面に表示させることができるようになり、より安全なフライトができるようになったの。
それまで、プロポから受信機へ一方通行のやり取りだったことを考えると大きな進歩であると言えるわね。
プロポを選ぶ際に決め手となる機能や性能
プロポは種類が多く機能や性能をスペックシートだけでは判断が難しいのが事実です。
そこでプロポを比較するさいに、最低限ここだけは確認しておけば問題ないというリストとしても活用してくださいね。
プロポには考えている以上の機能があるため、自分が使っているプロポのことを色々と調べておいたほうが良いと思います。
周波数と技適マーク
ドローンを操縦するプロポの周波数は2.4Ghzで、送信機自体に技適マークが無いと違法となります。
また、海外製のドローンなどで5.8GHz帯の電波で操縦するものもありますが、無線資格が必要となるため現実的ではありません。
ここは素直に2.4GHz帯の電波で操縦すると覚え、プロポは2.4GHz帯で技適マークの入ったものを購入してください。
よく混同されるのが、FPVシステムに使われている電波の周波数で、カメラからの映像をHMD(ヘッドマウントディスプレイ)へと映し出してくれます。
FPVシステムの周波数とドローンの操縦週蓮はべつもので、使用する場合はアマチュア無線などの無線資格と無線局の開局が必要になってきます。
FPVシステム周波数と操縦の周波数を混同しないようにしましょう。
プロポで操作できるチャンネル数
ドローンを飛行させるだけなら「スロットル・ラダー・エレベータ・エルロン」で最低4チャンネルあれば操縦はできます。
- 上昇下降/スロットル
- 左右旋回/ラダー
- 前後移動(傾き)/エレベータ
- 左右移動(傾き)/エルロン
この操作に加え飛行モードの変更やカメラ制御、ジンバルを搭載していればカメラのチルト操作やシャッターにもチャンネル割当が必要になります。
ひとつの操作に対してひとつのチャンネルが必要なので、ある程度のチャンネル数があるプロポを選んでおけば後々後悔することが少ない傾向にあります。
最近のプロポは1万円前後のものでも8~10CH以上あるため、そういったプロポを購入すれば初心者~中級レベルまでは使えるでしょう。
テレメトリー機能
いろんな場所で「テレメトリーついてないと!」みたいに書かれていますが、使用できそうなのはバッテリー電圧くらいでしょうか。
プロポのテレメトリーとは、機体に取り付けたセンサーを利用し各種情報をプロポに返すしくみのこと。
- GPSセンサー
- 気圧センサー
- 電圧センサー
- 回転センサー
- 温度センサー
など多様なセンサーがあり、測定した結果を無線で伝送できる機能のことです。
フライトコントロラー(フラコン・FC)にテレメトリー機能が組み込み済みの場合は、追加でセンサーを使用することなくデータを手元のプロポで確認できるようになっています。
DJIのドローンなどでは、離陸地点からの高度や距離だけじゃなく、バッテリー残量などもプロポに情報として表示されています。
これこそがテレメトリー機能によるもので、レースドローンでどこまで必要かは謎ですが、バッテリー電圧を確認できれば問題はなさそうですよね。
トリム機能
格安ドローンなどのゲームパッド形状のプロポなら無いものもあると思います。
しっかりした昔ながらのラジコンコントローラーの形をしていれば、トリム機能はついているはずです。
トリム機能とは、操縦するときにドローンに取り付けたカメラなどで機体バランスが狂った場合などに、スティック周辺にあるスイッチを動かすことで0点を補正する機能のことです。
低価格のものでも基本機能としてついているので
「何もしていないのにドローンが移動していく…」
なんて時にはスティックの近くにあるスイッチを動かしてみましょう。
ミキシング機能
ミキシング機能とはプロポである操作をした時に、同時に別な操作を組み合わせるといった場面で使える機能のことをさします。
ミキシング機能を使えるようになると、上昇しながら前傾させることもできるので、ひとつのスティックを操作するだけでカンタンに前進することができるようになります。
主に、固定翼の滑空機(グライダー)で使われているわね。
10万円前後のプロポではスティック操作の中で、どこまで倒したら別な操作をミックスするか決められるため、より細かい設定が可能になっているの。
ミキシング機能はおもにグライダーで使われる機能なので、ドローン(マルチコプター)が目的なのであれば、特に必要ないわ。
今後のプロポについて
そんなプロポですが、最近ではDJIから空撮に特化したプロポが出るなど大きな変化の中にいます。
ドローンの登場によって「機体を操縦する」というより「飛行を管理する」という面が大きくなっていることと、機体だけでなくカメラの登場で、カメラのオペレーションという面も出てきているからです。
ドローンだけで言うと、スマートフォンにインストールしたアプリで飛ばすことができる機体も多く、細かい操縦を求めなければスマートフォンでの操縦で十分という人も多いでしょう。
一方で、精緻な操縦や細かい設定を求めるならば、やはりプロポはまだまだ飛行に欠かせないものであると言えます。
まとめ
わずかな指の動きを忠実に動きに変えてくれるプロポは特にプロの現場では欠かせないものでありますし、最近ではタブレットとプロポを併用することで、カメラからの映像を見ながら、手元のプロポで操縦するという光景が日常のものとなりました。
一方で、ドローンは今後ますますシステマチックに制御する(操縦ではない)ものになっていくことでしょう。
飛行のほとんどがオートマティックになり、飛行全体を管理する機能や人材が求められてくることになります。
なるほどな〜。
プロポのことについてもっと勉強するか!
電波も現在の2.4GHzではなくなる可能性があるわ。
電波は到達する距離に限りがあるし、遠隔地へ自動制御で飛ばすことが求められる場合、使うことができない可能性があるの。
そこで、最近では携帯電話の5G回線でドローンを飛ばす実験が多く行われてるわ。
こういったことが実現すると、プロポの形も大きく変わってくることでしょうね。
とはいえ、RC飛行機やRCヘリ、そしてドローンレースを飛ばすにはまだまだプロポの力が必要です。
操縦者の手元を支えるプロポの今後の進化に注目が集まります。