【ドローンキーパーソンインタビューVol.13-3】データ分析から生まれたグランプリ作品のカットを佐々木光洋氏が語る | DRONE OWNERS ドローンの楽しさを伝えるメディア

【ドローンキーパーソンインタビューVol.13-3】データ分析から生まれたグランプリ作品のカットを佐々木光洋氏が語る

  • 日付2017.08.09
  • 株式会社NAVA 代表取締役でドローングラファの佐々木光洋氏にお話を伺う3回目
  • データ分析から生まれた、「Drone Movie Contest 2017」グランプリ受賞作品のカットとは
  • グランプリ作品の別バージョンをDRONE OWNERS限定で公開!

前回のインタビューの中で、カンラオン火山は偶然に訪れた場所であったことを明かしてくれた、株式会社NAVA 代表取締役・ドローングラファの佐々木光洋氏。偶然に遭遇した被写体を、佐々木氏はどのように作品へとまとめ上げていったのだろうか?今回は、グランプリ映像を生む作品作りのプロセスについて詳しく伺う。

田口「Drone Movie Contest 2017」グランプリ受賞作品『Kanlaon Volcano(Canlaon) Aerial shoot』の中で、佐々木さんが編集にこだわった部分はどこですか?

佐々木そうですね。クライマックスはもちろんなのですが、一番こだわったのはファーストカットですね。

株式会社NAVA 代表取締役、ドローングラファ 佐々木光洋氏

株式会社NAVA 代表取締役、ドローングラファ
佐々木光洋氏

田口火口を斜め上から捉えたカットですね。

佐々木これ以前の作品はだいたい、一番いいカットをラストに持ってきていました。ところがWebの閲覧データを分析したところ、アクセスしてくれたユーザーが映像を最後まで見終えていないことがわかりました。これをなんとかしたくて、あえてファーストカットに一番の目玉になるカットを持ってきました。

田口データ分析に基づいたカット配置だったのですね。普段から、データから得た情報を作品作りの参考にすることはよくあるのですか?

佐々木私が代表を務める株式会社NAVAでは、「Webと映像」という切り口で事業をしているので、Webから得たデータの分析は日常的にやっていますね。作り手の感性も大切なのですが、ユーザーが見たくなる映像はどんなものなのか?をひもとくことも大切だと考えています。実は、見てもらえる映像を模索する中で、ファーストカットが森からスタートする別バージョンも作っています。これまで公開していませんでしたが、今日は特別にお見せします。

DRONE OWNERS限定!森バージョンを初公開!

『Kanlaon Volcano(Canlaon) Aerial shoot』森バージョン

『Kanlaon Volcano(Canlaon) Aerial shoot』通常バージョン

田口コンテスト審査員の私も初めて見るバージョンですね。確かに映像への引き込まれ方が、森バージョンとグランプリを受賞した火山のバージョンとでは、全然違いますね。ファーストカットに火口の全貌が見えてからジャングルを進んでいく映像のほうが、断然ワクワク感が大きいです。

佐々木森バージョンの制作含め、いろいろと研究して、完成形の火山バージョンにたどり着いたんです。

田口佐々木さんが作品を作るときは、完成形のイメージが頭の中にある状態で映像を撮っているのですか?

佐々木いいえ。撮影した素材を持ち帰って見返しながら、カットの選別をすることが多いですね。

田口撮影時にはその場その場でベストだと思うカットを撮って、それを持ち帰った上で選別をして、一つの作品へと作り上げていくのですね。

佐々木そうですね。まずは撮影した素材をチェックしていいカットを集めます。次に、伝えたいイメージの音楽に乗せて編集します。絵コンテを描いて、その内容に沿うように撮影をして…という段取りが一般的ですが、私の場合は違っていますね。

田口そういった作り方は、ビデオグラファやドローングラファの方には珍しいかもしれませんね。ぜひ、最近の佐々木さんの作品を見てみたいのですが、新しい作品を見せていただけませんか?

佐々木今年の2月にベトナムに行ったときに撮影した映像がありますよ。ドローンの空撮映像だけでなく、地上の映像も3〜4割くらい使っています。

Wind of Vietnam [with Drone]

田口ベトナムとは思えない風景が続きますね。空撮と地上映像を織り交ぜることで、お互いの映像のいいところが引き出されています。ワンカットの尺が短めに構成されているのは意図的ですか?

佐々木ドローンの空撮映像だけが続いて単調にならないよう、地上の映像を組み合わせています。ワンカットが短いのは、Web配信する映像だからです。Webで見せる作品に関しては、ユーザーにもう1回見たい!と思わせる映像作りを心掛けています。

田口それは面白い考え方ですね。

佐々木テレビ番組やテレビCMの映像と違って、Web配信はユーザーが見たいと思えば何度でも見てもらえます。1回見ただけじゃよくわからない、じゃあもう一回見てみよう!というユーザーの動きを誘導したいと思っています。

株式会社NAVA 代表取締役、ドローングラファ 佐々木光洋氏

田口そうか、配信方法によって作り方を変えているのですね。佐々木さんの作品は感性で作りこんでいる部分が大きいのかと思っていましたが、データやロジックに基づいていたとは、すごく意外な裏側を知ることができました。
それでは最後に佐々木さんから、映像制作のアドバイスをいただけますか?

佐々木YouTubeなどにアップされているドローン空撮の映像の中には、ダラダラと長い1カットを使っている作品もありますが、ユーザーがそれを見たときに、飽きずに最後まで見たいと思える魅力的な1カットなのか?という視点は大切です。
ダラダラしていたら、思い切って短くする。それに、短いカットはドローンの複雑な操縦もいりませんから初心者の方にも取れ入れやすい手法ですよ。ぜひ、試してみてほしいです。

まとめ

佐々木氏いわく、「映像はソリューション」だそう。映像が完成形ではなく、その映像を見た人をどのように誘導するか…が重要だと。確かに映像を見せるということは、映像の先にある「目的」に受け手を近づけるための行為にすぎない。佐々木氏の論理的な作品(ソリューション)制作は、映像ビジネスをする人の参考になるだろう。

関連リンク

【Drone Movie Contest 2017 グランプリ受賞作】Kanlaon Volcano(Canlaon) Aerial shoot

「絶景ハンター」佐々木氏のInstagram

株式会社NAVA (ナバ)

インタビュアー紹介
田口 厚
インタビュアー:田口厚株式会社 Dron é motion(ドローンエモーション)代表取締役
1998年〜IT教育関連NPOを⽴上げ、年間60回以上の⼩学校現場における「総合的な学習」の創造的な学習⽀援や、美術館・科学館などにてワークショップを開催。その後Web制作会社勤務を経て中⼩企業のWeb制作・コン サルティングを主事業に独⽴。
2016年5⽉株式会社Dron é motionを設⽴、IT・Web事業のノウハウを生かしながら空撮動画制作・活⽤⽀援を中⼼に、ドローンの活⽤をテーマにした講習などの企画・ドローンスクール講師、Web メディア原稿執筆などを⾏う。「Drone Movie Contests 2016」 ファイナリスト。
http://www.dron-e-motion.co.jp/

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