【ドローンキーパーソンインタビューVol.12-3】DJIのエースパイロット 中村佳晴氏が考える、ドローンの安全対策

  • 日付2017.07.12
  • DJI JAPAN株式会社 エースパイロットでありドローングラファの中村佳晴氏にお話を伺う3回目
  • DJIがDJI CAMPのトレーニングなどを通じて訴える安全対策
  • 中村氏が苦い思い出を通して学んだ、安全対策ポリシーとは

ドローン業界でトップシェアを誇るDJI。その日本法人、DJI JAPAN株式会社(以下、DJI JAPAN)で専任パイロットを務めるのがドローングラファの中村佳晴氏だ。
折りたたみ式の小型ドローンであるMavic Pro、そして今年6月に発売された高性能セルフィードローンのSparkと、DJIはコンシューマーに近いドローンを立て続けにリリースしているが、これはユーザー層を確実に広げている一方、フライトに不慣れなユーザーがドローンを墜落させてしまうリスクもはらんでいる。中村氏はドローンの安全対策についてどのような考えを持っているのか、今回はドローンの安全性についてお話を伺っていきたい。

高性能セルフィードローンSpark

高性能セルフィードローンのSpark

田口昨年のMavic Pro、今回のSparkの登場によって、DJIドローンのユーザー層は、これまでドローンに触ったことがない人にも広がったように思えるのですが、実際はどのように感じられていますか?

中村新しいユーザーはもちろんのこと、大きなドローンだと外に持ち出しにくいと感じていたユーザーに対して、持ち歩ける気軽さをMavic ProやSparkが提供できたと思います。

DJI JAPANのエースパイロットでドローングラファの中村佳晴氏

DJI JAPANのエースパイロットでドローングラファの中村佳晴氏

田口ただ、YouTubeなどにアップされている動画の中には、非常に危険な飛ばし方をしている方も見受けられます。ドローンに関する安全対策について、中村さんはどのようにお考えでしょうか?

中村DJIではドローンの安全啓発活動として、アニメーション動画をYouTubeに掲載しています。一般の方にも理解しやすいよう、ちょっとコミカルなアニメになっています。それから、Webサイトに安全ガイドを掲載しています。ぜひ両方とも、ご覧いただきたいです。

安全対策アニメ:飛行前の確認及び飛行環境選択

田口とてもわかりやすい動画ですね。

中村ドローンに対して、「危ない」などのネガティブなイメージを抱く方もいらっしゃるのですが、正しく安全に使うことが重要だということを伝えたいですね。例えば自動車や包丁も非常に便利な道具ですが、使い方を誤ると危険です。それと一緒で、正しく安全に使えば、ドローンは私たちの生活を豊かに変えてくれるとても便利なものです。ドローンが活躍できる社会のために、今後もDJIは安全啓発活動を続けていきます。

田口DJIでは技能認定プログラムのDJI CAMPを運営されていますよね。国土交通省が発表したデータによると、改正航空法施行後1年間(平成27年12月10日から平成28年12月9日まで)の間に申請され許可承認された対象機体のトップ10のうち、DJI製の機体が非常に多くを占めていました。DJIさんが安全で正しいドローンの使い方を教育していくことは非常に重要だと思いますが、DJI CAMPでは安全対策に関して、何かトレーニングなどするのでしょうか?

改正航空法の運用状況(型式別許可承認状況TOP10)

出典:国土交通省提供資料より抜粋

中村DJI CAMPでは安全性に関する意識付けを重要視しています。機体のことを全て把握していたとしても、墜落する可能性を0%にすることは難しいです。自動車事故の可能性を0%にできないのと同じですね。人がそれをどう使うかが問題なのです。例えばDJI CAMPでは、万が一GPSが切れた状況でも機体を制御できるように、ATTIモードでの技術認定などを行い、安全にフライトできるトレーニングしています。

田口僕もDJIインストラクターとして活動させていただいている中で、DJI CAMPの教科書を読んだときに、安全性に対する意識や心構えが最も重視されていることに驚きました。

中村DJI CAMPは飛行経験10時間以上の方が対象なので、仕組みや技術についてはある程度わかってもらえていることが前提です。それよりも、個々人が暗黙知として持っている安全に対する意識を明文化し、広めていくことが重要だと考えています。

田口最後に一つお聞きしたいことがあるのですが、中村さん個人として一番気をつけている安全対策はどのようなことですか?

中村基本的な確認事項を怠らない、ということです。例えば、機体や設定のチェックです。機体を起動させると、「DJI GO4」のアプリ画面にステータス一覧が出てきますが、私はそれを確認した上で、さらに詳細の設定画面を全てチェックします。

DJI JAPANのエースパイロットでドローングラファの中村佳晴氏

田口ステータス一覧は便利ですが、ちょっと情報量が浅いですよね。

中村詳細まで全てチェックして、自分の中でオールグリーンが出てから離陸します。それは、何かあると誰よりも自分が怖いから。以前、ちょっとした油断からバッテリー残量が少ないことを見落として、機体を墜落させてしまったことがありました。そういったことがトラウマとなって、今ではどんなときでも必ず全ての設定を確認してからフライトします。

田口確かに、慣れてきたときほど油断して事故に直面することはよくあります。ほかに何か、安全に対するアドバイスはありますか?

中村見ている人が怖くなる飛ばし方は絶対にしない、ということが重要です。止まるにしても最後まで制御してあげることによって、見ている人も安心して楽しむことができます。

田口初心者の方に多いのですが、止まるときにレバーを離して、機体がギュンっと大きく傾いて止まる…という光景がよくあります。あれは、自分の近くに機体が来ないにしても、ちょっと恐怖感がありますよね。

中村止まるにしても飛ばすにしても、常に制御してあげる。それが機体の状態としては最も安全ですし、見ている人に安心感を持ってもらう気遣いにもなります。ドローンを楽しむ方々の中に、そういった配慮が根付いていくといいですね。

DJI JAPANのエースパイロットでドローングラファの中村佳晴氏

まとめ

DJI JAPANの中でも一番ユーザーに近い立場にいる中村氏だからこそ、安全に対する誰よりも高い意識を持っていると感じるインタビューだった。業務でドローンを活用するユーザーと同じくらい、個人ユーザーも安全に対する意識を高く持って、ドローンが「役立つ便利な存在」として社会に定着する一端を担ってほしい。
連載最終回となる次回は、中村氏が選ぶマイベストドローンについてお話を伺う。掲載は7月19日(水)を予定。お楽しみに!

インタビュアー紹介
田口 厚
インタビュアー:田口厚株式会社 Dron é motion(ドローンエモーション)代表取締役
1998年〜IT教育関連NPOを⽴上げ、年間60回以上の⼩学校現場における「総合的な学習」の創造的な学習⽀援や、美術館・科学館などにてワークショップを開催。その後Web制作会社勤務を経て中⼩企業のWeb制作・コン サルティングを主事業に独⽴。
2016年5⽉株式会社Dron é motionを設⽴、IT・Web事業のノウハウを生かしながら空撮動画制作・活⽤⽀援を中⼼に、ドローンの活⽤をテーマにした講習などの企画・ドローンスクール講師、Web メディア原稿執筆などを⾏う。「Drone Movie Contests 2016」 ファイナリスト。
http://www.dron-e-motion.co.jp/

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COLUMNのページでは、ドローンに関する特集記事を4つのジャンル別に掲載しています。INTERVIEWはドローン業界のキーパーソンの方々への連載インタビュー。ドローン空撮や映像編集に関するテクニックをお届けします。REPORTはドローンの新製品発表会やドローン関連イベントの取材。REVIEWはドローンの機体やドローン飛行可能施設(フィールド)の紹介。INFORMATIONはドローンレースやドローン空撮コンテストなどを紹介しています。

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