【ドローンキーパーソンインタビューVol.12-2】災害時にドローンを役立てたい。DJIエースパイロット 中村佳晴氏とドローンの出会い | DRONE OWNERS ドローンの楽しさを伝えるメディア

【ドローンキーパーソンインタビューVol.12-2】災害時にドローンを役立てたい。DJIエースパイロット 中村佳晴氏とドローンの出会い

  • 日付2017.07.05
  • DJI JAPAN株式会社 エースパイロットの中村佳晴氏にお話を伺う2回目
  • 2回目の今回は、ドローンパイロットになった経緯や、練習方法について
  • 意外と使われていないけれど便利な、インテリジェントフライトモードのアノ機能も紹介

災害時にドローンを役に立てたい…青果担当からドローンパイロットへ

ドローン業界でトップシェアを誇るDJI。その日本法人、DJI JAPAN株式会社(以下、DJI JAPAN)で、専任パイロットを務めるドローングラファの中村佳晴氏。中村氏の仕事はパイロットに限らず、DJIマスターとして、DJI CAMP(技能認定プログラム)を通したDJIインストラクターの育成や、関係各所との交渉・調整、取扱説明書の確認など幅広い業務を担当している。そんなオールマイティな中村氏だが、そもそもどのようなきっかけでドローンと出会ったのだろうか。今回はその原点に迫りたい。

田口中村さんはどのようなきっかけでドローンの世界に入られたのですか?

中村前職では、友人が立ち上げた派遣会社に大卒で入社して、派遣先のスーパーマーケットで野菜果物担当をしていました。そのスーパーマーケットから誘われて、そこの社員になったんです。

DJI JAPANのエースパイロットでドローングラファの中村佳晴氏

DJI JAPANのエースパイロットでドローングラファの中村佳晴氏

田口スーパーの青果担当ですか、意外な経歴ですね。

中村青果って、四季があって面白いですよ。季節感のある色合いを意識して、売り場を作るんです。そのために配色の勉強もしました。

田口その配色感覚は、今も映像作りに生きているのかもしれませんね。

中村そうですね。あとはお城巡りが趣味で、よく登城していました。登城するときは攻める側の気持ち、帰るときは守る側の気持ちを想像して楽しむんです。そこから、お城をもっと立体的に見てみたいという気持ちが大きくなりました。

田口僕もお城巡りが好きなので、その気持は非常によくわかります。

中村2010年ごろだと思うのですが、空からお城を撮れるものはないかとネットで検索して、海外にはマルチコプターというものがある、ということを知りました。それで早速購入してみたのですが、カメラも送受信機もなくて、そのままで使えませんでした。

田口そんな時代もありましたね、懐かしいです。

中村そうやって試行錯誤していたら、2011年3月11日に東日本大震災が起きました。実は翌日の3月12日は僕の誕生日でして、11日はテレビも見ずに友人と焼き肉を食べていたのですが、家に戻ってテレビをつけて驚きました。

田口震災のときは、どこにいたんですか?

中村静岡です。僕がいた場所はほとんど揺れませんでしたよ。その日はまったく眠れず、忘れられない誕生日になりました。翌日、上司に東北地方に行って手伝えることがあるなら行きたい…と伝えたのですが、そのころは静岡県の店舗の青果コーナーを統括する立場にいたので、行かせてもらえませんでした。

田口その立場では、さすがに仕事場を離れるわけには行きませんね。

中村そうなのです。でも被災現場の声を聞くと、20m先に行くのにがれきが邪魔して30分以上かかるなど、マルチコプターがあれば解決するのではないか?と思えることがたくさんありました。そこで、マルチコプターが有効に使えるのはお城だけではないな、地元の静岡にも何か災害が起こったときにいずれマルチコプターが必要になるはずだ…と思い、スーパーマーケットの仕事を辞めてマルチコプターの事業をすることを決意して、自分の会社を立ち上げました。その後、DJIのイベントを手伝ったことがきっかけでDJIから誘われて、入社しました。

DJI JAPANのエースパイロット 中村佳晴氏

田口東日本大震災が、転身する契機になったのですね。ちなみに、ドローンの操縦はどうやって練習したのですか?

中村DJIのF550という組み立て式の機体をメインに練習しました。外で練習して、バッテリーが切れたら充電して、その充電中はシミュレーターで練習して、充電が終わったらまた外へ行って練習して…というのを繰り返していましたね。だいたい1日8時間、1年間は練習しました。

DJI F550

DJI F550

田口中村さんの操縦技術の高さは、練習量の多さから来るのですね。

中村今の時代は、そこまでやらなくてもいいかもしれません。最近の機体はGPSの位置情報を使って操縦しているので、GPSが切れたときに安全に帰還できる技量くらいあればいいのかな、と思います。

田口そうですか?中村さんみたいに立体的な飛ばし方をしたり、ひたすらまっすぐ飛ばしたりということをしたいという方も多いのではないでしょうか。

中村DJIは誰でも飛ばせる、誰でも素晴らしい空撮ができる機体を目指しているので、最近はインテリジェントフライトモードを充実させています。それを活用することで技量の壁を取り払うことができるのではないかと思っています。
例えば、僕がよく使う機能は「コースロック」です。みなさんはあまり使わない機能かもしれませんね。機体の向きに関係なく機体の進行方向を固定する機能ですが、これを使うと2オペレーションの機体のようにカメラアングルをコントロールした映像を撮ることができます。

田口もう少し詳しく教えてください。

中村被写体の横をまっすぐ通過しながら、カメラは常に被写体を画面の中心にとらえつづける…というかっこいい撮影方法があるのですが、操縦するとなると非常に難しい。まっすぐ移動しながらカメラの向きを変えるということは、カメラが横方向に動かないMavicやPhantomでは機体の向きも変えなくてはなりません。

田口そうですよね。機体の向きを変えても進行方向が一定ということは、機体の向きによって進行方向の入力を微妙に変えていかないと機体そのものはカメラが向いている方向(=正面)に向かって行ってしまいます。

中村「コースロック」を使うと、機体の進行方向は常に一定なので、あとはラダーを入れるだけでカメラの方向をコントロールできます。結構使える機能なので、ぜひ皆さんにも使っていただきたいです。インテリジェントフライトモードは、これからいろいろなバリエーションが出てくると思います。6月に発売された新製品の「SPARK」では新たに搭載された「クイックショット」でさまざまな撮影パターンを提供しています。
これからの時代は、インテリジェントフライトモードをいかにして使いこなすか、ということも技術の一つだと思います。操縦環境や方法によっては、手動で操縦するよりも精度が高いですから。

DJI JAPANのエースパイロット 中村佳晴氏

まとめ

中村氏の災害対策に関する思いは強く熱い。深刻に語る中村氏は普段の柔らかいイメージとはまったく別人のようだった。
また、インテリジェントフライトモードを使ったテクニックは非常に興味深い。今回ご紹介した方法以外にもいろいろな活用方法があると思うので、ぜひ試してみてほしい。
次回は、中村氏が考えるドローンの安全対策について詳しく伺う。掲載は7月12日(水)を予定。お楽しみに!

インタビュアー紹介
田口 厚
インタビュアー:田口厚株式会社 Dron é motion(ドローンエモーション)代表取締役
1998年〜IT教育関連NPOを⽴上げ、年間60回以上の⼩学校現場における「総合的な学習」の創造的な学習⽀援や、美術館・科学館などにてワークショップを開催。その後Web制作会社勤務を経て中⼩企業のWeb制作・コン サルティングを主事業に独⽴。
2016年5⽉株式会社Dron é motionを設⽴、IT・Web事業のノウハウを生かしながら空撮動画制作・活⽤⽀援を中⼼に、ドローンの活⽤をテーマにした講習などの企画・ドローンスクール講師、Web メディア原稿執筆などを⾏う。「Drone Movie Contests 2016」 ファイナリスト。
http://www.dron-e-motion.co.jp/

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