【ドローンキーパーソンインタビューVol.8-4】大前創希氏のドローン空撮ノウハウ「光と影の表現」「BGMの付け方」 | DRONE OWNERS ドローンの楽しさを伝えるメディア

【ドローンキーパーソンインタビューVol.8-4】大前創希氏のドローン空撮ノウハウ「光と影の表現」「BGMの付け方」

  • 日付2017.03.01
  • 株式会社クリエイティブホープ 代表取締役会長 大前創希氏にお話を伺う最終回
  • 前回に引き続き、大前氏の映像制作ノウハウと具体的なテクニックを紹介
  • すぐに実践できる「光と影の表現」「BGMの付け方」など

前回は、撮影から編集に至るまでの広い知識と経験を持つ大前氏に、ドローン空撮におけるカメラワークや映像編集におけるカット割りについて教えていただいた。今回は、映像を効果的に見せる光と音のテクニックや、ドローンに対する想いを伺う。

光と影の使い方のポイントは「光を表現するために影を映す」

【田口】大前さんの映像は、光と影の使い方が非常にキレイだなと思います。光と影の使い方で何か気をつけているポイントなどがあれば、教えていただきたいのですが。

光といえば、太陽は被写体としていい素材ですよね。撮りたくなります。ただ、太陽を撮ろうとすると近景はほぼ潰れてしまいます。太陽の光は強いので、レンズの採光を下げなければならないのですが、そうすると画面全体は暗くなる。ですから、太陽を中心に考えると全体は映らなくなってしまいます。

株式会社クリエイティブホープ 代表取締役会長 大前創希氏

株式会社クリエイティブホープ 代表取締役会長 大前創希氏

【田口】どうするのがよいのでしょうか?

太陽の光が当たった空間をどのように見るのかがポイントです。北海道の美瑛町で撮影した朝日の映像は、朝もやが出るスポットを地元のカメラマンの方に教えていただきました。朝もやの景色の中に樹木の影が入ったときに、影の足が伸びる様子がとてもキレイだったので、その美しさが際立つドローンの高度はどこか?というのを心掛けながら撮影しました。

【田口】なるほど。太陽の光を捉えるために、その光が落とす影に注目しているんですね。

そうですね。
それから夕日は、海と組み合わせると光が引き立ちます。海は「サンロード」といって太陽の光が海面に道のようにスジとして見えるところがあるのですが、そのは美しいです。ただ、それを単純に構図の中央にすると素人っぽく見えてしまうので、サンロードに重なる直前の船を組み合わせることも多いです。

【田口】その画は、大前さんの映像作品でよく観たことがあります(笑)。動いている船を逆光の側面からドローンで追いかけて、だんだんサンロードに重なっていく…という撮り方ですね。

そうですね、よく使っているかもしれません(笑)。あの船は「影」に当たる要素なのです。ですから、サンロードが明るければ明るいほど、船が際立つわけですね。構図に関しては、光と影、サンロードをあえて中心から外してみる、アクセント要素が入ったときにどうするか?といったことを考えながら撮影をしていくと、画作りが成立すると思います。

【田口】あえてバランスを崩す、どこかを強調する、といったことでしょうか。

そうですね。その画の中のどこに注目させたいのか?が大切です。例えば紅葉であれば、赤や黄色に色づいた樹木が主役なのですが、樹木だけを写していてもうまくいきません。黄色く色づいた銀杏であれば、真っ青な青空と対比させることで黄色を際立たせるなど、主役を中心に置いてその周りのもので主役をより際立たせるという工夫があると、映像がより美しくなります。

空撮映像のBGMは「音からストーリーを作る」

【田口】音が記録されないドローンの空撮映像でポイントになるのがBGMだと思うのですが、その効果的な使い方を教えてください。

私は編集後の映像の長さを考えて、2分未満の曲を選ぶようにしています。曲調としては途中で展開が変わるものや、途中で曲の構成が増えるものが好きですね。単調な曲だと飽きてしまうので、後半に向かって盛り上がるなど、変化がある曲がいいと思います。

【田口】確かに、2分間も同じ調子だと眠くなりそうです。

雄大な景色であればゆったりとした曲、動きを中心に見せていくのであれば少し速い曲…という感じで、作りたい映像のイメージに合わせて選曲します。

【田口】やはり、最初に音楽を決めてから編集を始めるのですか?

音からストーリーが見えてくる場合もあると思うので、最初に音を決めます。福岡県東峰村の火祭りの映像は、曲がスローテンポに変わったときに一度暗転させています。そして、次のテンポが変わる瞬間にパーン!と目の前が広がるという映像を見せたかったので、そのような仕上がりをイメージしながら曲選びや編集をしています。

ちなみにもっと細かいテクニックを紹介すると、編集ソフト上では、8分音符とか4分音符などの音楽のポイントに合わせてマーカーを置いて、その音楽の変わり目に合わせてカットを置いていく…といった編集方法で動画を制作しています。そうすることで、音と映像を合わせやすくなりますよ。

【田口】映像とBGMがシンクロすることで、映像で伝えたいことがより明確になりますよね

大前氏にとって「ドローン」とは?

【田口】最後に、これはみなさんにお聞きしているのですが、大前さんにとって「ドローン」とはどんな存在でしょうか?

そうですね…私にとってドローンは「魂を運ぶ羽根」ですね。

【田口】ドラマチックですね。

まだ航空法が改正される前にFPVでドローンを飛ばしていたことがあるのですが、その時、本当に自分が飛んでいるような感覚を味わいました。肉体ごと飛べなくても、ドローンで羽根を得たのだと思ったんです。魂に羽根が生えて飛んでいけるようになったのだと。

【田口】そういえば以前、大前さんはもともとパイロットになりたかったとおっしゃっていましたよね。

中学生くらいまでは本気でパイロットになりたいと思っていました。飛行機に乗ると横の景色は見ることができるのですが、正面の景色って見えませんよね?飛んでいる正面の景色はパイロットしか見られない。私にとっては手の届かない、貴重な景色でした。今振り返ると、私は飛行機を操縦したかったのではなくて、正面の景色を眺めたかったのだと思います。それが、ドローンという「魂を運ぶ羽根」が誕生したことで、私も正面の景色を手に入れることができました。

株式会社クリエイティブホープ 代表取締役会長 大前創希氏

まとめ

ドローンを新たに始めた人の多くは、撮影した映像素材の編集に苦戦するのではないだろうか。大前氏は職業柄IT関連の技術や機材に関する知識も豊富で、なおかつ映像制作をしていた経験からカメラの知識を持ち、編集作業も自らこなす。逆に言えば、質の高いドローンの空撮映像を制作するには、そういった多くの分野の総合的な知識が必要になるということだ。今回は今までのインタビューと違い、あえて具体的なテクニックまで踏み込んでお話をお聞きした。大前氏のノウハウをぜひ役立ててほしい。

 

インタビュアー紹介
田口 厚
インタビュアー:田口厚株式会社 Dron é motion(ドローンエモーション)代表取締役
1998年〜IT教育関連NPOを⽴上げ、年間60回以上の⼩学校現場における「総合的な学習」の創造的な学習⽀援や、美術館・科学館などにてワークショップを開催。その後Web制作会社勤務を経て中⼩企業のWeb制作・コン サルティングを主事業に独⽴。
2016年5⽉株式会社Dron é motionを設⽴、IT・Web事業のノウハウを生かしながら空撮動画制作・活⽤⽀援を中⼼に、ドローンの活⽤をテーマにした講習などの企画・ドローンスクール講師、Web メディア原稿執筆などを⾏う。「Drone Movie Contests 2016」 ファイナリスト。
http://www.dron-e-motion.co.jp/

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