【ドローンキーパーソンインタビューVol.7後編】Phantomが起こしたドローン革命とともに歩んだセキド、その未来は | DRONE OWNERS ドローンの楽しさを伝えるメディア

【ドローンキーパーソンインタビューVol.7後編】Phantomが起こしたドローン革命とともに歩んだセキド、その未来は

  • 日付2017.02.02
  • 前回に引き続き、株式会社セキドの代表取締役 大下貴之氏にお話を伺う
  • Phantomがもたらしたドローン革命。歴代Phantomと、それに対する市場の反応を振り返る
  • セキドが次に目指すものは「ドローンを身近に感じてもらうこと」。今後の展開とは?

前回に引き続き、日本で最初にDJI正規代理店となった株式会社セキドの代表取締役 大下貴之氏にお話を伺う。前回は大下氏の経歴から、初代Phantomのプロトタイプとの出会いまでをお聞きした。今回は、日本市場にどのようにDJI製品が受け入れられてきたかという、ドローン普及初期の苦労や今後のセキドのビジョンについてお話を伺っていきたい。

株式会社セキド 代表取締役 大下貴之氏

株式会社セキド 代表取締役 大下貴之氏

映像業界が注目した初代Phantomの手軽さ

【田口】初代Phantomプロトタイプとの衝撃的な出会いがあり、その後製品として完成した初代Phantomを日本に輸入されたわけですが、当初の市場の反応はどうでしたか?

予想通り、最初に興味を示して下さったのは、ラジコンユーザーよりは映像業界の方でした。当時はアクションカメラの「GoPro」がとてもはやっており、GoProを機体に装着するアタッチメントをDJIが販売していたということも、要因かと思います。もちろん、今のように可動するジンバルではなく、固定のマウントでした。

【田口】映像業界の方から反応がよかったのですね。当初から「空飛ぶカメラ」や「空を飛ぶカメラ装置」として見られていたということですね。

もともと映像業界の一部の方は、F450やF550に社外品のジンバルを付けて飛ばしていたのですが、やはり装置の設置や設定が複雑で使いにくかったようです。そこに弊社がPhantomをフルセットで発売したので、「これは」と反応してくださった…という感じですね。

Phantomフルセット

PhantomとFUTABAのプロポのセット

【田口】社外品の設定や調整は面倒でしょうね。フルセット販売は魅力的です。

ただ一つだけ問題があって、Phantomの送信機(プロポ)につける技適マーク(技術適合マーク:日本国内で電波を飛ばすものは全て総務省の認証を受けなくてはならない)を取得できていなかったので、日本の送信機メーカーである双葉電子工業株式会社(FUTABA)の送信機をPhantomに設定する形で販売していました。後に技適の申請が通った為、DJIの送信機のセットも販売開始しました。それでもメカニカルなFUTABAの送信機セットは男性の心をつかんだようで、想像以上にFUTABAのセットも売れ続けました。

【田口】意外でした。Phantom専用送信機はシンプルで設定や管理が楽なので人気があると思いましたが、メカニカルで汎用性のあるFUTABAのセットも根強い人気だったのですね。ちなみに、そのPhantom+FUTABAの送信機のセットはおいくらだったのですか?

当時の調整済みの機体で14〜15万円くらいでしたでしょうか。ただGoProは別売りなので、GoPro込みだと20万円前後になったかと思います。当時は機体から送信機への映像伝送装置もない仕様で、伝送装置の登場を切望していました。

【田口】なるほど、映像伝送装置が一般的になるのはまだ少し先の話ですね。その当時だと、GoProからWi-Fiで飛ばした映像をスマートフォンで拾うか、映像を見ずに飛ばして着陸後に映像を確認するか…という感じですよね。

そうなりますね。でもGoProのWi-Fiの電波は電波干渉の問題もあるので、使用厳禁でした。実質的には映像を見ずに飛ばして着陸後に映像を確認することになります。

【田口】それでも、初代Phantomに最初に興味を示したのが映像業界の方々だったというのは興味深いですね。

Phantomがブレイクするターニングポイント

【田口】ドローンの販売を開始してから、ドローンに対する風向きが変わったな…と感じた瞬間はいつごろですか?

私の中では、2014年5月にPhantom2 Vision+が登場して、ドローンで撮影した映像がスマホやタブレットでほぼリアルタイムに手元でも見られるようになったころでしょうか。これはすごく革命的でしたね。初代Phantomが第一次革命だとすれば、Vision+は第二次革命ですね。Vision+発売後は建築関係や点検、警備関係のお客様など、産業界からのご相談が非常に増えました。

Phantom2 Vision+

Phantom2 Vision+

【田口】なるほど。Phantom2 Vision+が出るまでは、ドローンが撮影した映像を手軽に手元で見る装置はなかったのですか?

「Lightbridge」というDJIのHD映像伝送装置はありました。Phantom2に設置できることもあり、機体よりも値段が高かったですが、人気で品薄状態が続いておりました。

【田口】Phantom2 Vison+は、その高性能・高価格な映像伝送の仕組みをオールインワンパッケージにした製品というわけですね。やはり人気はありましたか?

今までの機体で一番反響が大きかったイメージがありますね。

【田口】翌年の2015年は「ドローン元年」と言われるくらい、ドローンという言葉が広く知られるようになった年でした。その年に発売されたPhantom3はPhantomシリーズでは初の4Kカメラを搭載した機体ですが、こちらに対する市場の反応はどうでしたか?

小型の機体に4Kカメラが搭載されたというインパクトは大きかったです。映像クリエイターからの反響も大きかったです。また4K映像を切抜きして点検画像などにも使えるという事で、映像業界以外の分野でも注目されていました。また、FPV映像(First Person View:ドローン搭載のカメラからリアルタイムに送信される映像)はVision+に比べて遅延も短くなり、なおかつHD映像がディスプレイに映し出されるという事は、凄い進化だと感じました。

【田口】なるほど。4Kカメラ搭載とともにFPV映像もインパクトを持っていたのですね。そういえば、Phantom3の発売直前には首相官邸にPhantom2が墜落するという衝撃的な事件がありましたよね。この事件の影響はあったのでしょうか?

Vision+に対して、「これは革命的だ、スゴイぞ」といういい雰囲気があった中で首相官邸へのドローン墜落事件が起きてしまったので、導入検討をされていた企業の購入延期がとても多かったです。 Webサイトのアクセスログを見るとアクセス数がすごく増えていて販売も一瞬は上がったのですが、その後、年末に改正航空法が施行されるまでの間、伸び悩む時期が続きました。

【田口】なるほど。ドローン自体が話題になったので販売数も伸びたかと思っていました。やはり、ドローンのネガティブ要素は拭い去っていく必要がありますね。

セミナーや体験会でドローンユーザーを増やす

【田口】セキドは他社に先駆けて、DJI製品の体験会や安全講習会を開催していますが、どのような経緯で始められたものなのでしょうか?

Phantom2 Vision+が発売になったころ、それまでラジコンなどに触れた経験がないお客様にも売れるようになり、墜落した機体の修理依頼がとても多くなりました。当社ではドローンは「安全運用」が絶対でしたので、社内で相談した結果、体験イベントや講習会でドローンの安全運用の啓蒙をしていくことになりました。当初は東京都調布市にある味の素スタジアムで開催していて、味の素スタジアムさんも非常に好意的に受け入れてくださったので助かりました。日本全国で初めてのDJIドローンのイベントでしたので、第一回目以降、数回にわたり大変多くのマスコミの方にもお越しいただき、今に繋がっているのだと思います。

味の素スタジアム 初イベント時の模様

味の素スタジアム 初イベント時の模様

味の素スタジアム 初イベント時の模様

講習会の模様

【田口】確かに、以前の体験会は味の素スタジアムでやっていましたね。それをきっかけにして、講習会の開催につながっていくのでしょうか?

そうです。最初はDJI製品の無料体験会を開催していたのですが、体験会やオンラインショップを通じてご購入されたお客様から、飛行の実技も含めドローンの基礎を学びたいというお声が多く、同じ味の素スタジアムにて安全管理に特化した講習会を有料で立ち上げました。

【田口】有料講習会も反響は大きかったですか?

有料の安全フライト講習会は、南は沖縄、北は北海道からと、遠方からも多くのお客様にお越しいただきました。最初の講習会はお客様に満足していただけるか、とても不安だったのですが、講習が終了した際に「とても為になったよ。今日は受講できてよかった」とお声を頂いた時は、本当に嬉しかった事を今でも覚えています。その後、安全講習会の事業を展開する中で、「飛行練習をする場所がなくて困っている」というお客様のお声が多く、次にドローンの練習場所が求められてきました。そこから今のドローンフィールドの開設に繋がりました。

【田口】体験会や安全講習会を先駆けて開催し、先日はドローンを練習するための常設のドローンフィールド「SEKIDO DJI ドローンフィールド」が神奈川県横浜市にオープンしました。次はどのような展開を考えているでしょうか?

フィールド開設後、併設の店舗を作りました。店舗のイメージは大人の男心をくすぐるデザインのストアにしました。お客様は法人様が多く、お仕事でドローンをお持ちになってご来店いただいたり、購入のご検討をいただく事が多いのですが、ドローンは文化になってほしいという思いがあり、ドローンサロンとして運営しています。

セキド

SEKIDO DJI ドローンフィールド

風景

フィールドでのレクチャー

高級な雰囲気のセキド DJI 横浜ベイサイド店(横浜市金沢区)

高級な雰囲気のセキド DJI 横浜ベイサイド店(横浜市金沢区)

ほとんどのDJI製品を実際に手に取ることが可能

ほとんどのDJI製品を実際に手に取ることが可能

さまざまなジャンルのユーザーがドローンを活用していく時代

【田口】セキドへ相談に来る方や、実際に機体を購入していくお客様は、どんな方が多いですか?

本当に幅広いです。ドローンは、建設・監視・防災・報道・インフラなど様々な分野で活用が進んでいます。最近では、測量用途での需要が2016年から急増しています。政府戦略でドローンの活用が提唱されていますし、様々な助成金なども出始めていますので、今後はさらにドローンの産業活用が加速すると感じています。また民間企業はもちろんのこと、官公庁や大学の方もいらっしゃいます。大学も地理学、農林水産、芸術、映像関連など幅広いです。

【田口】なるほど。もはやジャンルは関係なさそうですね。そういった方々は、どんな機体を購入していくのでしょうか?

ほとんどのお客様がPhantom4を購入されますね。まずはPhantom4でドローンのイロハを学んで、次のステップとしてM100やM600を検討したいというお客様も増えているように感じます。

【田口】Phantomが優れた製品だと、改めて感じますね。先日、MavicProが発売されて品切れ状態が続いているようですが、コンシューマーが戻ってきたような感覚はありますか?

戻ってきたというよりも、新しいユーザー層が入ってきたという感覚があります。ビデオグラファーなど、新しい映像を撮りたいという方がMavicProを導入したのではないでしょうか。ビデオグラファーの方々は、いくつものカメラやたくさんの機材があるので、そこに加えてPhantomやInspireも持っていくのは大変なのですが、MavicProだったら折りたためるので非常に手軽ですよね。私もプライベートではPhantom4を使っているのですが、早くMavicProに乗り換えたいです(笑)。

【田口】確かに、私の周りの方もMavicProを購入している方が多いですね。専門的に空撮に取り組む方よりも、映像手法の一つとして使う方のほうが多いのかもしれません。

そうですよね。4Kの高解像度な映像が撮影できて持ち運びが簡単にできるというのは、空撮機体として素晴らしいです。しかも、プロセッサーが進化しているのでフライトもとても安定している。ですから僕の中では、初代Phantom、Phantom2vision+に続いて、折りたたみ式ドローンMavicProは第三の革命です。

セキドが次に目指すもの

【田口】セキドでは、オンラインショップも運営されながら、体験会や安全講習会も開催し、ドローンフィールドと併設した店舗を展開されています。今後はどのような展開を考えているでしょうか?

当社のドローン事業においていえば、ドローンの活用においてまずは操縦士育成に力を入れていきます。当社で行っている操縦士育成セミナーおよびDJI CAMPは、アライアンス先とともに2017年度中に全国展開を目指します。セミナーは機体のアップデート情報や仕様の変更など日々進化する情報を受講者にわかりやすく正確にお伝えする事が求められます。テキストは本社にて一元管理し、最新の情報を各DJIインストラクターに発信し、全国どこの会場でも最新情報のセミナーを受講いただけるように構築しています。また育成セミナーを通じて、キャリアアップの支援も行ってまいります。ドローンの活用現場は多岐にわたりますので、専門性の高いフライヤーのニーズに応えられるチームを編成し、様々な企業の空撮ニーズに対応します。
2015年度からはセミナーに特化したチームによる、大手法人様向けの個別人材育成セミナーも行っており、3日間に凝縮した研修・訓練により、初心者からGPS無しでの8の字飛行まで、技術を習熟させています。
また立川の店舗は農業用、赤外線、光学ズームカメラ、リモートセンシング技術など産業用に特化したコンサルティングスペースに生まれ変わります。
販売においては、DJI製品をサポートするPGY社の日本総代理店になるなど、DJIの商品がより使いやすくなる商品の開発事業などにも力を入れております。
当社では卸販売を含め、導入のコンサルから機材の販売、操縦士育成および、産業用ドローンのオペレーションなど、全国のお客様に一貫型のサービスがご提供できるよう努めています。

大下さんにとって、「ドローン」とは?

【田口】セキドが本格的にドローン事業に参入したのは2012年ですよね。それから約4年で、市場とともに急成長してきたのですね。

DJIが2011年にドローン関連商品をリリースして、初代Phantomの発表が2012年、当社が販売を開始したのが2013年になります。中国本社と、日本の市場についてや、サポート体制・ユーザーの肌感の違い、メカニカルな問題など、当社はいろいろな経験を通してノウハウを蓄積しています。当社はDJIの取り扱いのほか、ラジコン機材、水中ドローンメーカーの総代理店として卸販売も行っています。この4年間のDJIドローンのテクノロジーの進化は目を見張るものがありました。またこの4年間で様々な出会いをさせていただいています。今後はいろいろな業界と手を組んで、ドローンのテクノロジーの進化とともに、ドローンの安全運用の普及活動や様々なテクノロジーツールやサービスを組み合わせる事によって、よりドローンの可能性、魅力についてお伝えできたらと思っています。当社のスローガンに「Memorable Experience, Guaranteed」という言葉を掲げていますが、お客様、社員はじめ、関わる全ての人が豊かになり、社会に貢献し続ける会社に成長できたらと思っています。

【田口】最後の質問ですが、大下さんにとって、「ドローン」とはどういう存在でしょうか?

ドローンは、社会に革命を起こしたと思います。そして、これから様々な産業分野において、ますます不可欠な存在になっていくのではないかと実感しています。私たちはDJIと言う革新的なサプライヤと共に、皆さんの生活をより便利に、より明るい未来になるよう、空からのテクノロジーを使ったご提案を絶えず行いたいと思っています。

株式会社セキド 代表取締役 大下貴之氏

【田口】セキドからの今後の提案が楽しみです。本日はありがとうございました。

まとめ

日本のドローン市場とともに成長してきたセキド。お客様に叱られ、中国の本社とも意見を交わしながら、さまざまな経験を通して独自のスタイルでドローンを販売・サポートしてきた。

ドローンを取り巻く環境は、法整備、技術革新、活用範囲など目まぐるしく変わっている。今までにないスピードで環境が変化する中だからこそ、セキドのような存在が必要とされているのかもしれない。セキドの今後に期待したい。

<株式会社セキド 会社概要>
2012年12月ドローンの世界最大手であるDJI社の日本で最初の正規代理店となる。
東京に産業用ドローンラボ、横浜にサロン型店舗とドローンの飛行練習場を完備。
定期的にドローン体験会や安全運用講習会を開催し、これまでの参加人数は延べ5,000名を超える。

オフィシャルサイト http://sekidocorp.com/
オンラインショップ本店 http://www.sekido-rc.com/
Facebook https://www.facebook.com/sekidorc

 

■SEKIDO DJI ドローンフィールドの詳細はこちらから

 

インタビュアー紹介
田口 厚
インタビュアー:田口厚株式会社 Dron é motion(ドローンエモーション)代表取締役
1998年〜IT教育関連NPOを⽴上げ、年間60回以上の⼩学校現場における「総合的な学習」の創造的な学習⽀援や、美術館・科学館などにてワークショップを開催。その後Web制作会社勤務を経て中⼩企業のWeb制作・コン サルティングを主事業に独⽴。
2016年5⽉株式会社Dron é motionを設⽴、IT・Web事業のノウハウを生かしながら空撮動画制作・活⽤⽀援を中⼼に、ドローンの活⽤をテーマにした講習などの企画・ドローンスクール講師、Web メディア原稿執筆などを⾏う。「Drone Movie Contests 2016」 ファイナリスト。
http://www.dron-e-motion.co.jp/

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