【ドローンキーパーソンインタビューVol.6後編】ドローン愛好家のコミュニティとしてのフィールドを作りたい

  • 日付2016.12.28
  • 前回に引き続き、ドローン・サーキットSPLASH のオーナー 山崎英紀氏にお話を伺う
  • スクールで使う屋内フィールドを探していたことがフィールド経営のきっかけだった
  • おでんを囲む電波講座などイベント開催も活発。ドローンを愛する人たちのコミュニティを作りたい

前編では、プロカメラマンだった山崎氏がドローンに出会ってから、ドローンパイロットとしてレースやイベントに参加し、ドローンスクール講師として活躍するようになった経緯を伺った。今は仕事の半分以上がドローンスクール講師だという山崎氏だが、現在オーナーをしているドローンフィールド「ドローン・サーキットSPLASH」も非常に興味深い。そこで後編となる今回は、そのフィールドについて詳しくお話を聞いていきたい。

ドローンスクール講師が転じてドローンフィールド経営へ

ドローン・サーキットSPLASH

ドローン・サーキットSPLASH

【田口】こちらのフィールドはどんな経緯で立ち上げたのでしょうか?

講師としてドローンスクールを開校するに当たって、雨天でも飛ばせる倉庫のような屋内フィールドを探していたんです。受講生から講習料をいただくことになるので、ちゃんとした場所を用意したくて。でも、物件を見てみたら結構家賃が高いんですよ。

【田口】相場はどれくらいなんですか?

100坪で50万円くらい。でもこの50万円を学校だけで払うのは負担が大きいので、これは一般の方にもご利用いただいてお金を稼がないと…と思ったのが、フィールドを立ち上げたきっかけです。

ドローン・サーキットSPLASHオーナー 山崎英紀氏

ドローン・サーキットSPLASHオーナー 山崎英紀氏

【田口】ドローンスクールの室内フィールドを探していたことが、きっかけだったんですね。それにしてもいい物件を見つけましたね。

ここを見つけたのは、たまたまなんですよ。物件探しの帰り道にこの近くを車で通ったんですね。そうしたら、空っぽの工場みたいなものが見えたので、なんだろう?と思って車をUターンさせて来てみたんです。家賃を聞くと、はじめはここもまぁまぁなお値段だったのですが、売上のシェアという形はどうですか?とダメ元で聞いてみたらいいですよって言ってくれて。それで借りることができました。

【田口】ここは天井も高いですし、ドローンを練習するにはいい環境です。今インタビューをさせていただいている2階はショールームになっていて、最新のDJI製品が並べられています。ここで練習したらテンションが上がりそうです。

フィールドの2階にあるDJI製品のショールームスペース

フィールドの2階にあるDJI製品のショールームスペース。セミナーなども開催される

 

フィールドの2階にあるDJI製品のショールームスペース

DJI製品が展示されている

 

実は、この2階は工場の社員食堂だったところなのです。奥には流しがあるのですが、ショールームにするならさすがにそれが見えてはよくないよね…ということで内装を変えました。現在では奥はシェアオフィスになっているんですよ。3社が入っていて、コンスタントに売上を上げています。

【田口】なるほど、経営面でも随所に工夫されているのですね。

ドローン・サーキットSPLASHをドローン愛好家たちのコミュニティにしたい

【田口】ちなみに、ここに来る方ってどんな方が多いですか?やはりドローンレースをされている方でしょうか?

いえ、そんなことはありませんよ。むしろ、ドローン初心者の方が多いですね。先日も「会社でドローンを購入したんだけど、はじめて飛ばすので練習に来ました」という方がいらっしゃいました。そういう方のほうがレースをやっている方よりも多いんじゃないでしょうか。その方はPhantom4を持ってきていて、点検で使いたいって言っていましたよ。

【田口】もっとレーサーが集まってくるのかと思っていましたが、一般的なドローンユーザーなんですね。そのような中で、こちらは今後どんな方向を目指していくのでしょうか?

ドローンフィールドとしては、ただドローンの操縦が上達する場所というだけではなく、いろいろな人と関わりを持ってもらって、みなさんが笑顔で情報交換できればいいなぁと思っています。

【田口】ただ単に技術を磨く場所ではなくて、みんなでアイデアを出し合ったり、情報交換できるフィールドというイメージですか?

そうですね。もちろんドローンの練習はするんですけど、2階でいろいろなアイデアを出し合うとか、そんなイメージです。家に一人でいてパソコンをやっていても、なかなかいいアイデアって生まれないと思うんですよね。ここには多彩なバックボーンを持ったドローン愛好家が集まってくれています。「あっ、それは面白いね」っていうものは、やっぱりいろいろな人が集まって雑談している中で生まれてくるものだと思うんですよね。

【田口】そうかもしれませんね。一人で考えていても、その人の限界を超えるのは難しいと思いますし。そういった意味では、DJI New Pilot Experience(DJI製品の体験会)も定期的に開催していますよね。

そうです。体験会などを定期的に開催することで存在感をアピールする機会にもなるかなと思っています。先日は、一般社団法人日本ドローン無線協会(JDRI)会長 戸澤洋二氏による、ドローンにおける電波講座『おでんぱ』を開催しました。

一般社団法人日本ドローン無線協会(JDRI)会長 戸澤洋二氏

一般社団法人日本ドローン無線協会(JDRI)会長 戸澤洋二氏

電波講座の様子

電波講座の様子

【田口】それは面白そうな講座ですね。ドローンをやっている人なら、電波の問題は興味ありますからね。盛況でしたか?

20人の方に参加していただきました。会場がぎゅうぎゅうでテーブルは置けないので、丸椅子を並べて受講してもらって、その間に下のフロアではおでんの準備をしていたんです。

手作りのおでん

手作りのおでん

【田口】あ、本当におでんも出るんですね(笑)。面白いですね。そういえば最近、ドローン関連のイベントって減りましたよね。

懇親会ではおでんを楽しむから、イベント名も『おでんぱ』なんです。確かにイベントは少ないですね。だからこそこれからも、イベントはやっていきたいなと思っています。今後の予定としては、『おでんぱ』の第2回や、京商の「DRONE RACER」競技会&体験会を1月か2月に予定しています。

懇親会では、できたてのおでんを食べながら語り合う

懇親会では、できたてのおでんを食べながら語り合う

山崎さんにとって「ドローン」とは?

【田口】最後の質問ですが、山崎さんにとって「ドローン」ってどんな存在ですか?

「パートナー」ですかね…

【田口】「パートナー」?どういった意味ですか?

プロカメラマンをやっていたときから、いつか肉体的な限界を迎えたらカメラを下ろす時期が来るというのをずっと感じていました。それまでにカメラ以外の何かができるようになりたくて、ずっとできることを探していたんですよ。いろいろ考えた中で、ドローンはやっていて楽しいし、仕事にもなるし、やっぱりコレかなぁと。カメラもそうなんですが、趣味と実益を兼ねているものがいつも仕事になっているんです。

【田口】やっぱり、カメラはもともと好きだったんですね。

ええ、そうなんです。昔からフィルムで撮影したものを自分で現像してみんなに配って…みたいなことをずっとやっていました。カメラが好きでカメラマンをずっとやってきたので、カメラマンの仕事も大切にしたいんですよ。そう考えると、ドローンってカメラもついているので今までの経験を生かすこともできます。これが例えば、農薬散布ドローンのオペレーターだとしたら、カメラがついていないので別物なんですよね。

【田口】あ、そうか。山崎さんの中では同じドローンでもカメラを搭載しているかしていないかで、全く別の意味を持つことになるんですね。

やっぱり自分の方向と違うんですよね。だから、橋の点検用ドローンでもトンネル点検用ドローンでも、カメラがついている限りそれは私のツールになると思います。でも、カメラが載らないドローンだったらやらないと思います。そういった意味で、(カメラが搭載された)ドローンは私のパートナーです。

ドローン・サーキットSPLASHオーナー 山崎英紀氏

【田口】なるほど、趣味と実益を兼ねたパートナーですね。今日はありがとうございました。これからも楽しいイベントを期待しています。

まとめ

フリーランスという立場で活動してきた山崎氏は、はじめのきっかけこそ所属していた会社で購入したPhantomだったが、それ以降は自ら積極的に出かけて学び人と出会うことで、ドローンを趣味と実益のある「パートナー」に育て上げてきた。

お話を伺いながら、山崎氏は自身が経験してきた学びと創造の環境をドローン・サーキットSPLASHに集まる人たちにハードとソフトの両面から提供しようしているのではないだろうかと感じた。改正航空法の施行以来、ドローン関連イベントの運営は難しく、施行前に比べてイベントの数は確実に減っている。しかしそういったイベントにこそ、いろいろなバックボーンとドローンへの熱意を持った人たちが集う。そこでのちょっとした雑談が何かのきっかけをもたらすこともある。

ドローン・サーキットSPLASHに集まる多彩な人々。そして、その中心にいる山崎氏の経験やユーモアを忘れない人柄が、次の “新しい何か”を生み出していくことになるのではないだろうか。

■ドローン・サーキットSPLASH次回開催のイベント予定

京商「DRONE RACER」競技会&体験会

【ドローンキーパーソンインタビューVol.5後編】DRONE RACERの楽しみ方と今後の展開
京商から発売された車型ドローン、新たな感覚のドローンを体感できるイベントです。
開催日時:2017年1月か2月頃
料金:調整中
詳細はこちらのFacebookグループでお知らせします。
今後も安全講習会やイベントなども企画していきます。お気軽にお越しください。

■ドローン・サーキットSPLASHの施設概要はこちら

インタビュアー紹介
田口 厚
インタビュアー:田口厚株式会社 Dron é motion(ドローンエモーション)代表取締役
1998年〜IT教育関連NPOを⽴上げ、年間60回以上の⼩学校現場における「総合的な学習」の創造的な学習⽀援や、美術館・科学館などにてワークショップを開催。その後Web制作会社勤務を経て中⼩企業のWeb制作・コン サルティングを主事業に独⽴。
2016年5⽉株式会社Dron é motionを設⽴、IT・Web事業のノウハウを生かしながら空撮動画制作・活⽤⽀援を中⼼に、ドローンの活⽤をテーマにした講習などの企画・ドローンスクール講師、Web メディア原稿執筆などを⾏う。「Drone Movie Contests 2016」 ファイナリスト。
http://www.dron-e-motion.co.jp/

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