【ドローンキーパーソンインタビューVol.6前編】異色の経歴からドローンフィールドオーナーへ

  • 日付2016.12.22
  • 第6回は、横浜のドローンフィールド「ドローン・サーキットSPLASH」オーナーの山崎英紀氏にお話を伺う
  • ドローンスクール講師も務め、本職はプロカメラマンという多彩な経歴の持ち主
  • スクールもない当時「気になる人に会いに行くこと」がすべてのはじまりだった

はじめに

室内ドローンフィールド「ドローン・サーキットSPLASH」

神奈川県横浜市青葉区に「ドローン・サーキットSPLASH」という室内ドローンフィールドがある。レース用ドローンユーザーはもちろんのこと、買ったばかりのPhantom4を持って練習に来る初心者の方も多いという。首都圏の数少ない室内フィールドということもあるが、ドローンスクール講師も務めるオーナーの技術力と人柄もそういったユーザーを惹きつける要素の一つなのかもしれない。

今回のキーパーソンインタビューは、「ドローン・サーキットSPLASH」オーナーでありながらドローンスクール講師を務め、なおかつ本職はフリーランスのプロカメラマンという異色の経歴の持ち主である合同会社ざきやまの山崎英紀氏に、ドローンとの出会いのきっかけから現在のドローンフィールドオーナーに至るまでのドローン事業拡大の経緯を伺っていきたいと思う。

プロカメラマンとしてドローンに出会う

オーナーの山崎英紀氏

【田口】現在はドローンフィールドを経営しながらドローンスクール講師もされている山崎さんですが、もともとはTV関連のプロカメラマンなんですよね?

はい。共同テレビのカメラマンとして平成4年からお世話になっています。学校を卒業してから技術プロダクションに入社して、旅番組などを担当していました。それと、情報番組などのロケ番組をカメラマンになるまで5年ほど続けていました。その中で、早くカメラマンになりたい…という気持ちが高まっていた頃、よそから「カメラマンにならない?」みたいなお声がかかるんですよね、甘い罠が(笑)。

【田口】なるほど、甘い“罠”ですね(笑)。

はい。それで企業のPRビデオを制作する会社に入りました。当時はバブル期で、誰が見るんだろう?というビデオに結構予算をかけて、まるで映画のように本格的に撮影する会社が多かったんですよ(笑)。

【田口】そんな時代があったんですか(笑)。今考えるとうらやましいかぎりです。

その後、バブルが弾けてそのような仕事も少なくなってしまったので、会社に所属するのではなくフリーランスになりました。そこからたまたま知り合いのカメラマンに紹介していただいたのが、現在も仕事をしている共同テレビです。

【田口】そんな経緯があったのですね。そのカメラマンになる前っていうのは、どんなお仕事をされていたのですか?

それこそ、カメラアシスタントをしながら照明とか音声とかを担当していましたよ。ロケの場合は全体の流れがわからないとダメなので、音声や照明から学ぶんです。特にあの当時は、室内で撮影するときに照明がないと暗くてまったく映らないという時代だったので、アシスタントとして照明から始めることになります。ロケ車も運転して、現場で三脚持って…

【田口】すごい。本当に修業ですね。

そうです。それからビデオエンジニアとして、今度は音声を学ぶんです。そして、それらが一通りできるようになってやっとカメラマンになることができる。

【田口】で、そこからさらにドローンをやり始めたわけですよね。そのきっかけって何だったのですか?

共同テレビでドローンを導入したことですね。会社でPhantom1を購入して、それを使ってどうにか空撮できないかということでいろいろ試行錯誤していました。それからPhantom2が出て、映像伝送システムとして高機能なLightbridgeが出たので、そこから本格的に共同テレビの空撮事業がスタートした…という感じですね。

【田口】じゃあ、結構早い時期からドローンを活用されていたのですね。

そうですね。2014年に発生した広島県の土砂災害のときには、Phantom1、Phantom2を使っていち早くドローンで被害状況を撮影しました。これがドローンを使って二次災害の発見に貢献したということで、『めざましテレビ』スクープ賞を受賞しました。

【田口】ああ、あの広島県の土砂災害のときにドローンが活躍していたと聞いていたのですが、それは山崎さんだったのですね。そのような早い時期にPhantomのような小型ドローンを活用して報道していたとは驚きです。

先駆者へ会いに行く、大会に出る、イベントに出る…とにかく経験を積む勉強時代

【田口】山崎さんがドローンを活用し始めた頃は、もちろんドローンスクールなどはなかったわけで、操縦の技術はどのようにして磨いたのでしょうか?

会社に2人ほどエースパイロットがおりまして、まずはその2人のアシスタントをすることから始めました。その2人はいわゆる「ゲーマー」なんですよ。機体を見て飛ばすのではなくて、ドローンレースのようにFPV(ドローンからリアルタイムに送られてくる一人称映像)の画面を見て飛ばす…みたいな感じの操縦方法です。

【田口】それはいきなりハイレベルですね(笑)。その当時は改正航空法施行前なので特に手続きはいりませんが、現在の法律では禁止されている「目視外飛行」というものですね。

そうですね。でも、私はそれをはじめに見ていたので、そういう飛ばし方が普通なのだと当時は思っていましたよ(苦笑)。そこからスタートしたわけですが、ラジコンについても何もわからない状態だったので、Facebookを活用しました。

【田口】Facebookの活用と言うと、具体的にはどのように使ったのでしょう?情報収集ですか?

3年くらい前からですが、Facebookのコミュニティ(グループ機能)に「空撮クラブ」というグループがあり、そこに加入して地方でもどこでもオフ会に行ってスゴイ人や会いたい人に積極的に会いに行きました。

【田口】Facebookグループですね。自分も利用していますが、色々細かいテーマで立ち上がっているので、興味があることの情報の共有や交流に便利ですよね。

そうですね。はじめて参加したオフ会は東京でしたが、その次は名古屋、そして静岡と、どこへでも行っていました。昼間の研修や飛行練習会なども勉強になるのはもちろんなのですが、夜は飲み会があってそこで名刺交換をしてその後もメッセージのやりとりをさせていただいたりしました。今思うと、今のドローンの業界で大活躍されている方々がその場にはたくさんいましたね。

【田口】3年前からすでにドローンを現場で活用されているような方々の集まりですから、今は確実にみなさんベテランと言われるレベルの方ばかりですよね。

すでに数十年間空モノのラジコンをやっている方もいれば、実機のヘリコプター等を活用して空撮をしている方、大学でGPSの研究をしている方などもいて、交流をさせていただく中で多くのことを学びました。そのような感じで、最初の1〜2年はあちこちに行って教えてもらったり、自己流で教えたりということをしていました。

【田口】なるほど!自分もはじめは山崎さんのようにあちこちのドローン関連イベントに参加していました。それによって新しい知識を得たり人脈を作ったりすることができたと思います。

イベントといえば、ありとあらゆるものに参加しましたよ。国土交通省が主催した「EE東北 UAV競技会」(東日本大震災後、復興計画の中や災害時にドローンを活用するためにパイロットを認定する技術大会)や、千葉県で開催された日本初の本格FPVレース大会「Drone Impact Challenge 」、ドバイで開催された国際的なドローンレース「World Drone Prix in Dubai」は日本国内予選から参戦し、チームメカニックとしてドバイの本選にも参加しました。それから今年の3月に開催された「Drone Impact Challenge 2016 幕張メッセ」では、実は私が大会コントロールをしていました。

【田口】あ、あの幕張メッセのレースは山崎さんがコントロールをしていたのですね。ちなみに、山崎さんと初めてお会いしたのも秋葉原で行われたドローンレースですもんね(笑)。ドローンってまだまだ発展途上の分野だから本やインターネットで学ぶのはもちろんのこと、熱心にがんばっている方々と会って学べることも多いですよね。

ドローンレースを始めたら、ひょんなことからドローンスクール講師へ

レクチャーの様子

【田口】いろいろなことに取り組まれている印象が強い山崎さんですが、ドローンスクールの講師もされているんですよね。

はい。日本ドローンアカデミーとY’sドローンスクールの2校でやらせていただいています。

【田口】そもそも、どういう経緯でドローンスクール講師をすることになったのですか?

ドローンレースにハマった時期があって、千葉にある「SPLASH」というドローンフィールドに通っていたのですが、そのフィールドの社長から「ドローン初心者から問い合わせがよく来るので講習会をやってくれないか?」とお声がけをいただいたことがありました。でも、そのために教材まで用意したのに、予定日にSPLASHに行ったら受講生がゼロだったんですよ(笑)。参加者ゼロで、仕方ないので普通にドローンの練習をしていたら、日本ドローンアカデミーの事務局の方がいらっしゃったんです。講習会の様子を見に来たようで。

【田口】受講者ゼロなのに?(苦笑)。

そう。でも、その方がPhantom2を持ってきていたので、基本的な操作方法だけ講習したんですね。でもなぜかその機体が講習の途中でコントロール不能になっちゃって。いろいろ設定は確認したんだけど原因は不明。最終的には安全に着陸させることができたのですが、その方は足がガクガク(笑)。

【田口】たぶん、ほぼ初フライトに近い初心者の方ですよね。その段階でのコントロール不能は足もガクガクになりますよ(笑)。

で、今日はこの辺にしておきましょうかね…と切り上げようとしたら、「実はスクールをやろうとしているんだけど、講師の人がまだ見つからなくて、今日はその相談に来たんですよ」って言うんです。じゃあ、最初から言ってくださいよ!という感じで、その後はスケジュールを決めて、開校にこぎつけました。

【田口】なるほど。山崎さんの事業の広がりは、人との“縁”が大きなポイントになっているのですね。でも、それは山崎さんが積極的に動いたからこそできたご縁ということが、お話を伺ってよくわかりました。

おわりに

自ら積極的に動くことで技術の幅と人脈を広げてきた山崎氏。現在の仕事の割合は、プロカメラマンとしての時間よりもドローンスクール講師としての時間の方が大きいという。

山崎氏との雑談の中で出た話だが、「もうちょっと近くにあればなぁ」とか「あの日じゃなければなぁ」などと口にする人は、それが近くや予定の空いている日に開催されたとしても参加することはまれである。これは筆者も非常に共感できるところで、筆者自身も必要と思うことであれば、北海道でも九州でも出かけたものだ。山崎氏もそうやってチャンスを一つ一つ形にしてきたのだろう。

さて、後編となる次回では、ドローンスクール講師がドローンフィールドオーナーになった経緯や、ドローンフィールドの目指すものなどについて、詳しく聞いていきたい。

ドローン・サーキットSPLASHの概要

インタビュアー紹介
田口 厚
インタビュアー:田口厚株式会社 Dron é motion(ドローンエモーション)代表取締役
1998年〜IT教育関連NPOを⽴上げ、年間60回以上の⼩学校現場における「総合的な学習」の創造的な学習⽀援や、美術館・科学館等にてワークショップを開催。その後Web制作会社勤務を経て中⼩企業のWeb制作・コン サルティングを主事業に独⽴。
2016年5⽉株式会社Dron é motionを設⽴、IT・Web事業のノウハウを活かしながら空撮動画制作・活⽤⽀援を中⼼に、ドローンの活⽤をテーマにした講習等の企画・ドローンスクール講師、Web メディア原稿執筆等を⾏う。「Drone Movie Contests 2016」 ファイナリスト。
http://www.dron-e-motion.co.jp/

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