【ドローンキーパーソンインタビューVol.5後編】DRONE RACERの楽しみ方と今後の展開

  • 日付2016.12.07
  • 前回に引き続き、R/C(ラジコン)の老舗メーカー 京商株式会社のお三方にお話を伺う
  • レーシングドローン「DRONE RACER」のオプション品、注目はサイズアップするモーター
  • 製品に触れてもらう場作りや新製品プロジェクトなど、誰でもドローンレースを楽しめる土壌作りをしたい

【ドローンキーパーソンインタビューVol.5後編】DRONE RACERの楽しみ方と今後の展開

2016年11月25日、ついに発売となった京商「DRONE RACER」。独創的なDRONE RACERの開発は、まさに“遊びにまじめ”な京商開発チームが楽しさと格好良さをまじめに追求してできた製品だった。

少しでも軽く、そして揚力を稼ぐことが重要なドローンにおいて、一見ムダに見えるボディーやウィングの装着。操る難しさを克服する楽しさではなく、競う楽しさを追求した結果できたホイラープロポのインターフェイス。ドローンメーカーでは思いつきそうにない“京商らしい”発想がDRONE RACERを魅力的なドローンにしていた。

そして、京商のR/C(ラジコン)カーといえば、豊富なオプションパーツやレース開催などでもユーザーから好評を得ている。DRONE RACERとしての展開も非常に気になるところだ。

そこでインタビュー後半となる今回は、DRONE RACERの今後の展開についてお話を伺っていきたい。

豊富なオプションパーツはDRONE RACERでも健在。カスタマイズやスピードアップで長く楽しめるドローンに

【田口】R/Cカーの楽しみの一つといえば、やはり豊富なオプションパーツでスピードアップしたり、自分の操縦スタイルに合うようにカスタマイズしたりすることだと思うのですが、DRONE RACERでもオプションパーツの展開はされるんですよね?

【京商 石川】もちろん、そうなりますね。いろいろ発売予定なのですが、おすすめなのはハイパワーなモーターです。ノーマルでは直径8.5mmのモーターがついているのですが、実はノーマル状態ではスペーサーが入っていて、このスペーサーを外すことで10mmのモーターが装着可能になります。

京商株式会社 開発マネージャーの石川氏

京商株式会社 開発マネージャーの石川氏

【田口】モーターのサイズが変わるんですか!?それはあまり聞かないパターンのアップグレード方法ですね。

【京商 石川】そうなんですよ。サイズアップするモーターを付けることができるドローンというのはなかなか無いみたいですね。

【田口】しかもハイパワーモーターの写真を良く見ると、ピニオンギヤ(モーターの軸に装着しているギヤ)が樹脂製から金属製になっていますね。これを見るだけで、モーターがどれだけハイパワーなのか想像できます(笑)。

DRONE RACER専用設計の高回転型スペシャルモーター。ピニオンギヤに真鍮の13T※エクスピードドローンモーター10mmは、DRW001 ハイギヤードセットと併用して使用

DRONE RACER専用設計の高回転型スペシャルモーター。ピニオンギヤに真鍮の13T
※エクスピードドローンモーター10mmは、DRW001 ハイギヤードセットと併用して使用

【京商 石川】さらにギヤ比の低いハイスピードギヤもオプションで発売予定なので、このギヤとハイパワーモーターを組み合わせるとスゴイことになります(笑)。

【京商 岩元】それと、未塗装のボディーも出しますよ。R/Cカーのレースをやる方って、だいたい自分なりにボディーを塗装して楽しんでいるじゃないですか。自分のイメージに合ったパーソナルカラーでまとめたり、実車のF1のカラーリングを真似てみたり。

未塗装のボディー

クリアボディとオプションパーツの一部

【田口】未塗装のボディーはユーザーのニーズが高そうですね。やっぱり、自分のオリジナルカラーで飛ばしたいですよ!ちなみに、僕が気になるのは「チタンビス」ですね。軽い新素材の「チタン」と聞いただけで萌えます。

【京商 矢嶋】あ、でも、このチタンビスはビス自体が小さいのでそんなに軽くはならないかも(笑)。

【田口】えーー!あれだけコンマ何グラムを減らすのが大変…とか言っていたのに、そんなオチですか?(苦笑)

【京商 石川】軽くなっても1グラムくらいかもしれないですね。どちらかというと満足感を満たすアイテムかもしれません(笑)。

1機分のビスセット。軽量なチタン材によりシャシーの軽量化に貢献

1機分のビスセット。軽量なチタン材によりシャシーの軽量化に貢献

■写真付きのオプション・スペアパーツリストはこちらからダウンロードできます。

ドローンレースの魅力「FPV(一人称視点)」もオプション発売予定!DRONE RACERに乗っているかのような臨場感も

【田口】9月の製品発表会で気になったのは、やはりFPVカメラとモニター。コックピットの視点で楽しめるFPVは、ドローンでレースをやる楽しみの一つですよね。ただ、今はレース用のFPVをやるにはアマチュア無線免許が必要だったり、専門的な知識が必要だったりとちょっとハードルが高い。

【京商 石川】そうですね。ですので、DRONE RACERではそういった免許を必要としない1.2GHzのアナログ微弱電波を使って製品化する予定です。

【田口】カメラは機体のどこに付けるんですか?コックピット?

【京商 岩元】カメラは機体の前方下面に設置します。こんな感じで…

【田口】なるほど。ぜひ触らせてください!

FPVカメラとモニターの様子

【田口】これは面白いですね!低空だからスピード感もスゴイし、映像の遅延もほとんどない。

【京商 矢嶋】誰にでもできるっていうのが最高でしょ?

【田口】そうですね!ゴーグルではなくてあえて小型モニターというのはいいですね。モニター映像も見るけど、同時に目視で機体も見えるのでFPV初心者の僕でも操縦がしやすい。

【京商 石川】ゴーグルは没入感があっていいんですが、視野が狭くなるので安全性の問題もあるし、何よりかなりの確率で酔うんです(笑)。

【田口】このFPVセットが発売になったら、DRONE RACERがまた今とは違う製品になりますね。非常に楽しみです。

すでに新製品開発プランも!?さらに初心者にやさしいDRONE RACER開発プロジェクト

【田口】いろいろなオプションパーツを見せていただきましたが、ほかに今後の計画などありますか?

【京商 岩元】実は、今回発売したDRONE RACERよりもさらにビギナー向けの機種を作ろうか…という計画があります。

発案・開発担当の岩元氏

発案・開発担当の岩元氏

【田口】さらにビギナー向けですか!?

【京商 矢嶋】まだ社長と話している段階で、発売ははっきりとは決まっていないんですが…

【京商 石川】でも早い段階でリリースしたいと思っていまして、私の希望では来春くらいには発売できないかと思っています。遅くても秋ぐらい?

【田口】今のDRONE RACERでも、かなりビギナー向けの仕様だと思うのですが、何が変わる予定なのですか?

【京商 石川】DRONE RACERは超音波センサーを2つ付けているので、ほぼ水平の状態でホバリングができます。でも、GPSやポジショニングカメラ(床面を画像解析して自機の位置を把握するセンサー)がないので、勢いを付けた状態でスロットルを離すとスーッと流れていっちゃうんですよね。

【田口】一般的なトイドローンなどもそうですよね。位置情報は持っていないので、自分でコントロールしないとスケートリンクの上みたいにスーッと流れていっちゃう。滑空する感じですね。

【京商 石川】そうです。その滑空する感じって、操縦に慣れている人にとっては気持ちいいのですが、初心者の人にとってはある程度のところで止まってほしいんです。高性能ドローンなどのGPSが付いているモデルは、位置情報から座標を割り出してそこに止まるような制御をしているので、急ブレーキをかけたようにガツンと止まりますよね。そうではなくて、クルマのエンジンブレーキみたいなイメージで、自然な減速をしながら止まる…というような機体を作りたいと思っています。

【田口】面白いですね!今よりさらにクルマっぽい動きをするドローンというわけですね。確かに、クルマの動きの理論を再現したほうが、これから始めようという方にとっては理解しやすいかもしれません。

【京商 矢嶋】そこですよね。昔R/Cカーで遊んでいたという方や、今からR/Cカーを始めるのはちょっと気が進まないけど空モノならやってみたい…という方にはぴったりだと思っています。

まずはDRONE RACERに触れてもらう機会を増やしていきたい!

【田口】次は、DRONE RACERの今後の展開についてお伺いしたいのですが、プロモーションやイベントなど、京商さんとして計画していることはありますか?

【京商 矢嶋】悪路でも水面でもいろいろなところで飛ばせる機体なので、いろいろな場所でいろいろな人にやってほしいと考えています。そういった流れの中で、ユーザーが増えてきたら京商オフィシャルレースっていうのももちろんやっていきたいなって思っているんですけど、この辺がなかなか難しいんですよね。

【田口】難しい…というと?

【京商 矢嶋】好きな人はどんどん先へ行ってしまうのですが、そうすると初心者の方が置いてきぼりになってしまう。私たちは、その間を埋めていきたいと思っていますので、DRONE RACERを多くの人に体験してもらえる機会を増やすことをまずはやっていこうかなと思っています。今後発表されてくると思いますが、自分のところでDRONE RACERをやりたいと言ってくださる、R/Cクラブや施設、団体等の方々とご一緒にDRONE RACERに触れてもらう場を作るということもありえます。

【田口】それは楽しみですね。自分もいただいた機体をいろいろなところに持って行って体験してもらっているのですが、みなさん、かなり夢中になります(笑)。

【京商 矢嶋】今はSNSがあるので、DRONE RACERのユーザー同士が交流できるような統一ルールを作ったり、遊び方の提案をしたりしていきたいなと思っています。

マーケティング担当の矢嶋氏

マーケティング担当の矢嶋氏

【田口】なるほど。SNSでDRONE RACERをコミュニケーションツールとした交流が始まったら面白そうですね。ちなみに、DRONE RACERは日本だけでなく世界で発売するそうですが、そういった国を超えた交流も生まれるかもしれませんね。

【京商 矢嶋】DRONE RACERは世界各国の代理店と組んで販売していく予定ですよ。あと、面白いのは地域差があって、冬が寒いヨーロッパなどでは冬はインドアR/Cのミニッツレーサー、夏は外でオフロードR/Cカーといった遊び方もあるのですが、DRONE RACERは屋内でも屋外でも遊べる機体なので、こういったニーズには両方とも応えられるかなと思っています。

いい大人が燃えた!新感覚レースのDRONE RACER

【田口】ここまで開発経緯などさまざまなお話を聞かせていただきましたが、読者にDRONE RACERの楽しさを伝えるにはやはり、レースを見てもらいたいと思います。そこでぜひ、模擬レースをやらせてもらえませんか?

【京商 矢嶋】いいですね。やりましょう!!

模擬レースの様子

みなさんにとってドローンとは?

左から、京商株式会社 開発マネージャーの石川氏、発案・開発担当の岩元氏、マーケティング担当の矢嶋氏

【田口】さて最後に、みなさん一人一人にお聞きしたいのですが、みなさんにとって「ドローン」とはどういったものなのでしょう?

【京商 石川】私にとってのドローンは、子どものころに想像していた「夢の飛ぶもの」という感じでしょうか?それと、昔から今で言うところのFPVが好きなんですよ。昔、お台場で開催されていたイベントでR/Cカーに小型カメラを付けてラジコンに乗れるアトラクションをやったことがありました。私はそういったものが結構好きで、ドローンはそれが飛んでいるものにくっついてしまったという「夢を超えた夢の飛ぶもの」という感じです。

【京商 岩元】「誰にでも飛ばせるヘリコプター」というところでしょうか。昔から私は操縦するものが大好きで、自分で操縦できるラジコンが大好きだったんです。ミニ四駆もやったんですが、やっぱり自分で操縦がしたいという思いが強くて。今まではラジコンのヘリコプターって操縦が難しかったんですが、操縦が簡単なDRONE RACERが操縦の楽しさを伝えるアイテムになってほしいと思っています。

【京商 矢嶋】僕のホビーライフを「ハッピーにさせてくれるアイテム」です。まず、所有感ですね。こんなカッコイイ物が“オレのもの”なんだという感覚を味わえちゃう。例えば、家に友だちが来たときに、ふっと置いてあるドローンを見て「うわぁ、なんかスゴイものを持っているね〜見せて!やりたい!」と。DRONE RACERはまさにそんな感じ!こういう素敵なホビーはぜひ手に取ってほしいと思います。

 
 

まとめ

DRONE RACERは、オプションパーツの装着やセッティングの変更でさまざまな操縦レベルのユーザーにも楽しめるようになっている。特にFPVカメラ&モニターを装着すると、まったく別次元の商品だ。

また、R/Cカーレースのようなきちんとしたサーキットが無くても自然の地形や障害物がそのままDRONE RACERのサーキットとなり、手軽にレースを楽しむことができる。SNS等を使ってレースの様子や結果を共有できる仕組みを構築できれば、コミュニケーションツールとしての可能性も広がりそう。

いずれにせよ、日本の老舗R/Cメーカーがまじめに作った「DRONE RACER」は、今までのレース用ドローンの概念を大きく超えたドローンだ。今後の京商とDRONE RACERの展開に注目したい。

インタビュアー紹介
田口 厚
インタビュアー:田口厚株式会社 Dron é motion(ドローンエモーション)代表取締役
1998年〜IT教育関連NPOを⽴上げ、年間60回以上の⼩学校現場における「総合的な学習」の創造的な学習⽀援や、美術館・科学館等にてワークショップを開催。その後Web制作会社勤務を経て中⼩企業のWeb制作・コン サルティングを主事業に独⽴。
2016年5⽉株式会社Dron é motionを設⽴、IT・Web事業のノウハウを活かしながら空撮動画制作・活⽤⽀援を中⼼に、ドローンの活⽤をテーマにした講習等の企画・ドローンスクール講師、Web メディア原稿執筆等を⾏う。「Drone Movie Contests 2016」 ファイナリスト。
http://www.dron-e-motion.co.jp/

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