「頼朝の窟~2017~」で全14公演のドローン夜間フライトを行ったトライポッドワークスの安全管理とは(後編) | DRONE OWNERS ドローンの楽しさを伝えるメディア

「頼朝の窟~2017~」で全14公演のドローン夜間フライトを行ったトライポッドワークスの安全管理とは(後編)

  • 日付2017.05.10
  • 2017年3月に、神奈川県湯河原町でドローンフライトとプロジェクションマッピングを融合させたイベントが開催された
  • このイベントでドローンに関する企画やフライトを行った、トライポッドワークス株式会社のお2人にインタビュー
  • 後編では、夜間撮影のテクニックや、エンターテインメント分野へのドローン活用について詳しく伺う

「頼朝の窟~2017~」プロジェクションマッピング※無断複製転載禁止

「頼朝の窟~2017~」プロジェクションマッピング

「頼朝の窟~2017~」で使われたSpreading Wings S1000※無断複製転載禁止

「頼朝の窟~2017~」で使われたSpreading Wings S1000

2017年3月8日~12日の5日間にわたり、神奈川県湯河原町の幕山公園で開催されたイベント「頼朝の窟~2017~」。満開の梅林の中で、源頼朝の逸話からヒントを得たプロジェクションマッピングが投影され、UFOに見立てたドローン4機が飛行する一風変わった催しだ。その企画とフライトは、トライポッドワークス株式会社 代表取締役社長の佐々木賢一氏と、チーフドローンオペレーターの長塚誠氏が手掛けている。後編となる今回は、夜間のフライトと空撮テクニックや、バッテリー管理の工夫、安全管理と演出の葛藤などについて詳しく伺っていく。

前編記事はこちらから

夜間でもキレイに撮影できるカメラの設定方法

岡田イベントの模様を収めた動画を見たのですが、Spreading Wings S1000にPanasonic GH4を載せて撮ったものとPhantom4 Proが撮影したカットが使われていますね。夜でも、Phantom4 Proであんなに鮮明に撮影できるとは驚きです。

「頼朝の窟~2017~」トレーラー

佐々木普通に撮ると難しいのですが、私の趣味が天体写真なのと、当社は夜景や花火、暗い室内の撮影を数多く行ってきたので、そのノウハウが生かされています。この演出はドローンの新しい活用法が広がっていくチャンスですから、ぜひ空撮して記録に残したいと思っていました。

岡田カメラの設定をぜひ詳しく教えてください。

佐々木日中はオートで撮ることが多いのですが、夜は必ずマニュアルです。夜景は、編集時に輝度を上げてもノイズが乗らないように撮ること、明るいところを白とびさせないように撮ることなどを考えてカメラを設定しますね。ISO感度は、これまでの経験でPhantomのカメラなら800程度、高くても1600に設定するのがノイズを抑えるコツです。
あとは、広いダイナミックレンジを確保するために、夜はD-logで撮影することが多いです。夜間に撮影していると、Phantom4とPhantom4 Proのカメラ性能の違いを感じますね。センサーサイズが1/2.3から1インチに大きくなったことと、ビットレートが100mbpsに上がったのが効いていますね。Proのほうが色の粒々が鮮明で、圧倒的に美しいです。

トライポッドワークス株式会社 代表取締役社長の佐々木賢一氏

トライポッドワークス株式会社
代表取締役社長の佐々木賢一氏

岡田長塚さんは夜間撮影をされたことはあったのですか?

長塚ほとんどなかったので、夜間撮影の時は佐々木に教えてもらいながらカメラを設定しています。ドローンオペレーターに転身してからは、カメラの知識の必要性も痛感しています。

トライポッドワークス株式会社 チーフドローンオペレーターの長塚誠氏

トライポッドワークス株式会社
チーフドローンオペレーターの長塚誠氏

岡田とりあえず撮影して、あとから加工するというやり方ではダメなのでしょうか?

佐々木加工するにしても、元データの美しさが重要です。これ、天体写真の基本なんですよ。
暗いところや淡い光などの撮影対象って、後処理で輝度を上げることを前提に撮るのが鉄則で、ノイズが多いデータだと、加工してもかえってノイズが強調されてしまうんです。

岡田イベントには私も参加しましたが、現地は非常に寒かったですよね。バッテリー管理はどうされていましたか?

長塚電池マネジメントは重要でしたね。イベントで飛ばしたS1000はバッテリーがむき出しになっていて、温度の影響を非常に受けやすいんです。電池が冷えないよう温蔵庫で温めていましたが、それでも5分ほどの公演は結構ギリギリでした。一日3公演をこなすために、常に充電していました。
ここのところ、マイナス10度以下の厳冬期の山の上での撮影が多かったので、その時の経験が活きました。

ドローンのエンターテインメント活用について

イベント用にセットされたS1000

イベント用にセットされたS1000

イベント用にセットされたS1000

岡田寒さのほかにも、多くの観客、夜間、強風と、安全管理上の課題が多かったのではないでしょうか?

長塚演出サイドからの指示と安全管理のはざまで、常に葛藤していました。演出サイドからは、「観客のほうへもっと寄れないか」「(ドローンに搭載した)ライトを上下左右にもっと振ってくれ」と、インカムに逐一指示が入ります。ただ、積載量がある関係で機体を振ると制御が難しくなるんです。オペレーターからは観客がどの位置にいるのか見えにくいこともあり、あくまで慎重に進めました。

岡田ライトを振る以外にも、スピーディーな上下飛行が結構ありましたよね。

佐々木Phantom4 Proの下方センサが、積んでいるライトのことを地面だと誤認識して、下降スピードがゆっくりになってしまう場面もありました。会場を盛り上げたいという気持ちも強かったですが、とにかく安全第一というのがポリシーでした。何か起これば、イベントが台無しになってしまいますから。前日までの公演を収めた動画を見て、あれこれ議論していましたね。公演時はインカムで常に交信しながら飛ばしていましたし。そうやって入念に安全管理することで、5日間14公演を無事に終えられたと思います。

岡田トライポッドワークスでは、今後もエンターテインメント分野でのドローンフライトを手掛ける予定ですか?

佐々木主軸ではありませんが、手掛けていきたいです。当社はITを主軸としながら「ドローンを通じた空間利用」を掲げていて、エンターテインメントはその一つです。ITとエンターテインメントは接点が少ないので気付きにくいものの、エンターテインメントの世界で実現したいことをテクノロジーで解決できるケースは多いだろうと思っています。
明治座の『SAKURA』、今回のイベントと、立て続けにエンターテインメントに関わったおかげで、エンターテインメントの世界の人たちとかなり接点ができました。そこで感じているのは、特に東京オリンピックを控えたここ数年は、エンターテインメントの中でのテクノロジー、特にドローンやIoT、VR、AIなどへのニーズ拡大が一つのトレンドだと言うことです。
エンターテインメントで鍛えられた技術が業務系にフィードバックされることも多くなりそうなので、そういった意味でもエンターテインメントにはチャレンジしたいですね。

岡田ドローンの活用法の一つとして、たまたま今回はエンターテインメントだった、ということですね。

佐々木今は、ドローンに関するアイデアをどんどん出すことで、ほかのビジネスへつなげていける時期だと思います。今後も、ITを通じたドローンの新しい活用法を積極的に提案していく予定です。

トライポッドワークス株式会社 左:チーフドローンオペレーターの長塚誠氏 右:代表取締役社長の佐々木賢一氏

まとめ

「頼朝の窟~2017~」という華やかなイベントも、オペレーターから見れば過酷な状況でのフライトであったことが、お二人の話しぶりからひしひしと伝わってきた。特に「安全第一」という言葉は繰り返し発せられていた。DRONEOWNERSではこれからも、安全にドローンを楽しむ方々を応援していきます。

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